(1) 心・血管系の加齢変化
◇ 心・血管系の機能は、加齢とともに固体差が大きくなる
◇ 各臓器、組織に必要な酸素と各種栄養素を供給し、同時に各組織から出た老廃物を回収して、各種の排泄器官(皮膚、肺、特に肝臓と腎臓)送り出す役目をもつ
◇ 心・血管系の疾病に罹患しない限りヒトの心拍出量は加齢そのものによっては低下しない
◇ 安静時の心拍出量は対象が健康である限り、加齢により低下しない
◇ つまり、安静時では"右肩下がり神話"にはならない
◇ しかし、運動負荷の拍出量の場合は、"右肩下がり神話"が当てはまる
(2) 腎機能
◇ 腎機能の加齢による変化は、不変か、むしろ増加を示す人々が大部分である
◇ つまり、心拍出量と同様、腎クレアチニンクリアランス値ですら"右肩下がりの神話"は誤りである
(3) 神経系
(@)中枢神経系
◇ "右肩下がり神話"は一般論として通用しない
◇ 加齢による記憶力の低下
◇ 長期記憶が比較的よく保たれているのに比し、短期記憶の衰えが目立つ
◇ 語彙能力は長期縦断的な研究ででは70を過ぎて、なお上昇を続ける人々が少なくない
◇ 複雑な思考や、総合的判断力などは、高齢者になっても衰えにくい知能の種類の一例である
◇ 寝つきの悪さが起こる
◇ 夜間覚醒の回数も多くなり、覚醒時間も長くなる
◇ 深い眠りを続ける時間が短くなる
(A)体性神経系
◇ 運動神経の刺激伝導速度は加齢により遅くなる
◇ 短時間での敏捷な身体、四肢などの動かし方などは遅くなる
(B)感覚系
○視覚
◇加齢により、比較的著明な機能低下が見られる
◇ 視力の変化は比較的早期に出現し、40歳代にその変化を自覚する
◇ 眼球の水晶体が屈折率を増す
◇ 高齢者の視力障害は白内障に代表される眼疾患
○聴覚
◇ 加齢による聴力障害は老人性難聴。高音域になるほどその程度を増し、左右ほぼ同程度の障害が特徴
◇ 補聴器の使用が唯一の対策
◇ 難聴の理解に乏しいきらいがある
◇ 介護者の苛立ちが増し、被介護者の孤立感を促進する原因
○味覚・嗅覚
◇ 患者の訴えが少ないため見逃しがちなものが、味覚・嗅覚の低下
◇ 味覚は加齢とともに低下するといわれ、90歳を過ぎた人には全くの味盲に近い人さえいる
◇ 甘味に対する味覚低下が一番普遍性がある
◇ 嗅覚は味覚とともに食欲を刺激する大切な要素である。その低下は味覚の低下とあいまって食事に対する無関心をもたらす
◇ 嗅覚低下に気づかぬことから周囲に対しての悪臭源であることに気づかず、介護側は人格・モラルの低下と受け取りがちとなる
(C)自律神経系
◇ 高齢者介護上最も重要な自律神経失調は、排尿障害といえる
◇ いわゆる排尿後尿失禁(もう終わったと思った後での排尿)が起こりやすくなり、特に女性の場合は頻度が多い
◇ 排尿反射系の機能低下は、頻尿、切迫尿失禁(いわゆる我慢のできない失禁)が生じやすくなる
◇ 排尿筋収縮の低下は、排尿に時間がかかり、残尿を増加させる
◇ 残尿と括約筋系の機能低下は、腹圧上昇時の失禁(腹圧性尿失禁)を起こす
◇ 男性の前立腺肥大による排尿困難も高齢者には極めて多く出現する
(4) 呼吸器系機能の加齢変化
◇ 全肺気量は加齢ではほとんど変化しない
◇ 残気量は加齢とともに次第に増加する
◇ 肺活量は減少する
(5) 消化器系器官の加齢変化
◇ 消化器系器官は口腔による食事摂取に始まり、肛門による排泄に終わる
◇ 消化・吸収を助ける肝臓、膵臓をあわせて考えている
◇ 各種消化吸収機能に重大な加齢低下は見られない
◇ 嚥下反射の不調による誤嚥
◇ 便秘と大便失禁
◇ 長期の便秘は腸閉塞などの重篤な疾患を引き起こす
◇ 肝機能は、生理的加齢により高齢者の生活を脅かすような機能低下は顕在化しない
◇ 肝薬物代謝能は、容易に低下しないが、感染、低栄養など高齢者に伴いがちの疾病、健康度低下が存在すると、この機能は容易に低下する
◇ 薬物体内蓄積を起こし、薬物による副作用の原因の一つとなる
(6) 内分泌系機能の加齢変化
◇ 甲状腺ホルモンのうちの、トリヨードサイロニン(T3)と、性ホルモンである男性ホルモン(テストステロン)、女性ホルモン(エストロゲン)は、加齢により血液中濃度が低下する
◇ 男性におけるエストロゲン濃度は低下しないが、女性の場合、高齢者では若齢者の10〜20%の値まで下がり、閉経後、骨粗鬆症の原因となる
◇ メラトニンの血液中濃度は加齢により著減し、高齢者の睡眠障害に関連している
(7) 骨・筋肉系の加齢変化
◇ 一般には、骨塩濃度の加齢的変化は、30歳前後を機に以後低下の傾向を示す
◇ 特に、女性では閉経後その傾向が加速し、女性に骨粗鬆症が多数発生する原因とされている
◇ 骨塩濃度の絶対値およびその加齢変化は個体間で大きな差がある
(8) 血液および造血系
◇ 赤血球、白血球などの血液成分は骨髄中の造血幹細胞の分裂により作られる
◇ 赤血球の寿命は約120日
◇ 造血幹細胞の分裂能力の加齢による変化は少ない
◇ 健康な高齢者の場合、アルブミン濃度は多少低下傾向を示しても、容易に正常範囲以下には下降しない。80歳以上の超高齢者であっても4.0r/dlの値を割り込むことはまれである
◇ 高齢者の場合、些細な疾病によってもアルブミン濃度は容易に低下する
(9) 生殖器系の機能の加齢変化
◇ 物理的・生理的性能力の限界がきても、人間には精神的・心理的性生活がが最後まで存在する
* 高齢者の行動の特徴
@ 夜間行動
◇ 夜間の睡眠障害、不眠は加齢とともに、その頻度と程度が増加し、女性は男性より、より頻回に不眠を訴える
◇ 夜間行動、夜間の不眠不穏は翌日の昼間の眠気、嗜眠となって現れる
A 食欲と摂食
◇ 身体機能の障害等で、加齢に伴う食欲は漸次減退する
◇ 歯の喪失、味覚の低下、唾液分泌の低下なども食欲減退の生理的原因
◇ 食欲不振は潜在性、顕在性の低栄養をもやらす
◇ 各身体各臓器の生理機能は加齢そのものでなく、それに伴う栄養不良、感染など不健康が増すにつれて顕在化するものが多い
B 性行動
◇ アルツハイマー病など痴呆症が進むと社会常識に反する異常、突発性あるいは誇張された性行動に走るものがある
◇ パーキンソン病の治療薬であるL―Dopaの副作用として男性の性行動刺激は有名
C 抑うつ
◇ 機能的(器質的病巣のない)精神障害としいぇ最も高頻度に出現する
◇ 感情の低下のみならず、行動性の低下をもたらす悲哀気分をいう
◇ うつ病は若齢者にも見られるが、高齢者に、よろ多くみられ、男性より女性に多い
D 不安
◇懸念の感情と生理的興奮の入り交じった不快な感情体験である
E 妄想
◇ 不安・抑うつが感情と気分の障害である
◇ 妄想は思考内容の障害であり、実際には思想の誤りである
◇ 訂正され、証拠を目前に見ても誤った考えを変えることができない
◇ アルツハイマー病や脳血管障害の後遺症として起きる場合が多い
F せん妄
◇ 可逆性の器質的精神障害のうち最も頻発する
◇ 術後せん妄
◇ 夜間せん妄
◇ 意識の一種の夢幻的変化が存在し、錯覚、幻覚、強い不安、不穏をもたらす幻視が出現する
◇ 理解不能の行動言辞となって出現する
◇ 可逆性であり、一定の時間の後に正常に復する
◇ 痴呆と誤解される
◇ 発生が急速に起こり、また可逆的な点が区別の根拠となる
G 記憶障害
◇ 高齢者の記憶障害に特徴的なことは、遠い過去の記憶、ごく近い直接記憶はよく保たれているが、最近の記憶が傷害されていることである
H 痴呆
◇ 知能、気質、性格の人格の三つの面にすべて変化を起こす
◇ 第1期(初期)―― 変化を嫌い意欲の低下、社会的事象に関する関心低下が出現
◇ 第2期 ―― 性格特徴の誇張が起こり(心気症)、妄想的、抑うつ的となる
◇ 第3期 ―― 重篤な見当識の喪失、判断力の貧困化、作話持続
◇ 第4期 ―― 四肢の硬直、吸引反射など特殊な神経症状で、日常生活を自ら行うこ
とが不能となる
@ 低栄養
◇ 疾病によるほか、重要なものに、歯牙の欠損、異常、口腔内非衛生による口腔内疾患などによる食欲不振がある
◇ 高齢者といえども血清アルブミン濃度が4.0g/dl以下である場合、低栄養の赤信号
A 水・電解質代謝異常(特に、脱水)
◇ 肺炎などの感染、発熱、水摂取不能(あるいは制限)などのほか、中には利尿剤の過剰作用によるものもある
◇ 夜間頻尿、失禁を恐れて自分で水摂取を制限している
◇ 舌や皮膚の乾燥、頻脈などが他覚的所見で、せん妄が出現する
◇ 水をコップ一杯飲むだけで様子が好転する場合もある
◇ 通常血清ナトリウムの高値(高ナトリウム血症9を伴う
◇ 摂取水分量の減少(嚥下障害、意識障害、口腔、食道疾患など)、水分喪失のの増加(発汗過多、利尿剤、下痢など)により起こる
B 呼吸不全
◇ 呼吸困難が生じた場合、動脈血中に溶けている酸素や炭酸ガスの濃度異常を示し、生体が正常な機能を営みえない状態を"呼吸不全"と呼ぶ
◇ 高齢者の呼吸不全は、呼吸困難が前面に著明に出現しないことも少なくなく、患者が訴えを的確に行ないえない場合も多い
C 骨折
◇ 骨粗鬆症が主因となって骨折が多発する
◇ 脊柱椎体、大腿骨頚部、橈骨遠位端、上腕骨近位端、肋骨に多い
◇ 現在では、大腿骨頚部骨折手術の翌日から積極的にリハビリテーションを行う
D 転倒
◇ 運動機能をつかさどる脳(線条体)機能の低下、運動性反射の低下、筋力の低下などが原因
◇ 単なる転倒のみならず、二次的により大きな事故(例えば骨折)に至る場合も少なくない
E 寝たきり
◇ 寝たきり老人の数は、欧米をはるかに上回る
◇ 寝たきり高齢者の数は、約100万人
◇ 脳血管障害が30〜50%を占め、第一位
◇ 大腿骨頚部骨折に代表される骨折は、全寝たきり患者の10〜20%
◇ 高齢者になればなるほど早期のリハビリテーションにより廃用症候群を防ぐことの重要性が増す
F 床ずれ(褥瘡)
◇ 自らの体重で体の一部を持続圧迫することにより(局所の)循環不全が起こり、皮膚、皮下組織に壊死が起きる
◇ 全身感染の原因ともなる
◇ 発汗や大・小便失禁による皮膚湿潤、低栄養(特に低アルブミン血症)
◇ 仙骨部、大転子部、肩甲骨部などに発生しやすい
◇ 最低2時間ごとに体位変換が望ましい
G 廃用性症候群
◇ 心身の機能を十分活用しないことにより、本来低下すべきでない機能が低下する状態
◇ 骨密度の低下、筋力低下、関節拘縮、褥瘡、誤嚥性肺炎、尿失禁、便秘、精神活動の低下
◇ 急性期からのリハビリテーション、慢性期の医療・看護・介護では昼間の就床時間をいかに少なくするか
◇ 年齢の上昇とともに、薬物の有害作用の頻度が上昇する
◇ 肝機能、腎機能などの低下や体内脂肪量の増加などにより増強
◇ 中枢神経系に鎮静的に働く薬物の過剰作用で、眠気、ふらつき、転倒などの原因となる
◇ マイナートランキライザーの薬物は投与を避ける努力をする
◇ 糖尿病薬、胃潰瘍薬(H2ブロッカー)、ジギタリスなどは高齢者では、副作用として精神錯乱状態を起こしうる
◇ 咳止めのためのコデインなどを用いれば便秘になる
◇ 薬物によるパーキンソン様症状の出現も少なくない
(1) 虚血性心疾患
◇ 「狭心症」は冠状動脈の血流の一時低下によるもの
◇ 運動後出現する「労作性狭心症」と、運動に関係なく出現する「自発性狭心症」とがある
◇ 通常、数分で軽快、ニトログリセリンが有効なことが多い
◇ 「心筋梗塞」は冠状動脈の一部が血液が固まって(血栓症)閉塞するために起こる
◇ 通常激しい胸痛発作と呼吸困難が主症状
◇ 無痛性心筋梗塞が増えるのは高齢者の心筋梗塞の特徴
◇ 通常心電図検査により診断が確定する
◇ ニトログリセリン無効
(2) 心不全・ショック
◇ 高齢者の心不全症状は自覚症に乏しい場合が多い
◇ 気がついたときは重篤な肺水腫に至っている場合も少なくない
◇ 老齢者のショックは、血圧低下、脈拍微弱、頻脈、冷汗、皮膚蒼白、乏尿などが臨床所見
◇ 高齢者では、血圧の変化より、生あくび、無欲状態、指南力低下、せん妄など精神障害が前面に出現することが多い
(3) 血圧異常
@ 高血圧症
◇ 加齢とともに血圧は上昇
◇ 高血圧症の診断は、収縮期血圧160oHg、拡張期血圧95oHg以上のものをいい、収縮期血圧に目立つ
◇ 高齢者の血圧は、脈圧(収縮期と拡張期の血圧の差)の大きいことに特徴がある
◇ 高齢者の高血圧症の大部分は動脈硬化が原因
◇ 夜間就寝時には低下する
◇ 日中変動の程度の高いことも高齢者高血圧症の特徴
◇ 血圧治療のための投薬による副作用には十分の注意が必要。昼間の居眠り、注意力散漫、意欲減退など
◇ 血圧低下は脳梗塞の原因ともなる
A 低血圧症
◇高齢者の低血圧症は、高血圧症と同時合併することも少なくない
◇ 一過性の起立性低血圧症、食事後性低血圧症は高齢者に多く、ふらつき、めまいなどの症状を伴う
(4) 不整脈
◇若齢者にも存在するが、高齢者では動脈硬化、高血圧症などにより頻度が増す
(5) 肺性心
◇ 肺に原因があって肺循環の障害を起こし、右心室に負担のかかる状態をいう
◇ 慢性閉塞性肺疾患や慢性肺結核などによるもの
◇ 症状としては、咳、痰、動作時の呼吸困難、胸痛などの自覚症状
◇肺炎と慢性閉塞性肺疾患は日常極めて多く、介護上も重要
(1) 肺炎
◇ 高齢者の死因としては悪性腫瘍についで2位
◇ 合併した場合を含めると、高齢者死亡率の約半分までが肺炎
◇ 典型的症状を欠く
◇ 容易に脱水症状を引き起こす
◇ 誤嚥性肺炎は、高齢者が突発的に呼吸困難を起こした場合、まず疑うべき疾患の一つである
◇ 特に夜間睡眠中の繰り返し吸引が原因をなる
(2) 慢性閉塞性肺疾患
◇ 肺気腫と慢性気管支炎を含めた概念
◇ 高齢者の気管支喘息をも含める場合がある
◇ 慢性気管支炎は症状で定義され、1日10ml以上の痰を2冬連続、1冬3か月以上続ける場合
(3) 肺がん
◇ 日本人全体の肺がんの死亡率は年々上昇している
◇ 原因は大気汚染、喫煙が挙げられる
◇ 喫煙者の肺がん頻度は高く、大量喫煙者ではその頻度は非喫煙者の6倍に達する
(4) 気管支喘息
◇ 気管支喘息は喘鳴(呼吸に伴い、ぜいぜい、ひゅうひゅうという音をさせること)を伴う呼吸困難の一時的発作
◇ 若齢者はアトピー性が多いが、高齢者ではその頻度は低下する
(5) 肺結核
◇ 我が国の肺結核症は戦前、死亡率は人口10万人に対し年間250人であったが、現在では3.0人
◇ 60〜69歳では100、70歳以上では150を上回り、高齢者にとって肺結核は恐るべき死病
◇ 排菌性の(開放)肺結核患者が医師、看護婦、介護者への感染をもたらし、院内感染を起こす危険性をはらんでいる
◇ 咳、痰、息切れなどの呼吸器症状以外、食欲不振、微熱、体重減少、全身倦怠など
(6) 間質性肺炎
◇ 一般の肺炎と区別される疾患であり、原因不明で予後の悪い特発性のもののほか、膠原病、薬物性、ウイルスによるものがある
◇ 原因不明の間質性肺炎は息切れ、空咳が特徴的であり高齢者に多く、男性に多い
◇ 高齢者に特徴的な神経疾患としては、脳卒中(脳梗塞と脳出血)、慢性病としての老年痴呆が代表的
(1) 脳血管障害
◇ 最も多い虚血性脳血管障害 → 動脈硬化性血栓性脳梗塞
◇ 最大の危険因子は高血圧
◇ 心疾患に起因し、血栓が脳血管に至って閉塞を起こす脳塞栓があり、高齢者の脳梗塞の10〜30%を占める
◇ 出血性脳血管障害は、脳内出血とクモ膜下出血に分けられ、脳内出血のほとんどは高血圧症に合併して発症
◇ 高齢者では睡眠中、起床時など非活動中に起こることが珍しくない
◇ 典型的なクモ膜下出血は、激しい局所性頭痛で発症し、しかも神経症状が殆どない
◇ 出血性梗塞といって出血を伴う脳梗塞が存在する
◇ 脳内出血、クモ膜下出血ですら、発作後1週間からのリハビリテーションが必須
(2) 高齢者の慢性、進行性神経変性疾患
@ パーキンソン病
◇ その頻度は50歳〜60歳代のあり、欧米は我が国の2〜3倍に達する
◇ 我が国では人口10万人に対し40〜50人といわれる
◇ 筋肉が固く萎縮し、筋肉の運動性が低下する
◇ 手の震え(振戦)が初発症状で、歩行障害、全身動作緩慢、仮面性顔貌、言語不明瞭などの症状がある
◇ 知的活動は損なわれていない
◇ 特にL−Dopaは症状を寛解させるが、進行をとめることはできない
A 老人性振戦
◇50歳以後発症し、体位振戦(体の震え)を主な症状
B 老年痴呆
◇ アルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆とがある
○アルツハイマー型痴呆(あるいは単にアルツハイマー病)
◇ 最初から知能が低下するわけでなく、人格を保っている時期が長いにもかかわらず、痴呆の名で呼ばれることにより、人格を傷つけることが多い
◇ 人格を重んじる態度が最も大切であり、子供扱い、赤ん坊扱いは絶対に避けなければならない、
C 脳血管痴呆
◇ 原因が脳血管障害(脳卒中)、特に脳梗塞にあるもの
◇ 徐々に進行する点はアルツハイマー型痴呆に似て、両者の区別は必ずしも容易ではない
(3) 脊髄疾患
◇ 変形性頚椎症 ―― 知覚異常、感覚低下、運動障害
◇ 変形性腰椎症 ―― 間歇性跛行(短時間の休息で回復)
◇ 末梢神経の異常 ―― 四肢の運動障害、感覚障害
◇ 全身性の疾患から生じるもの・・糖尿病性、尿毒症性、中毒性、がん性、膠原病性など。帯状疱疹によるものもある
◇ 高齢者に特徴的な消化器疾患は、食道炎、食道がんなどの食道疾患が重要
◇ 食道がんは男子に多い(5:1)、喫煙、飲酒などが危険因子
◇ 胃がんの発生頻度は低下の傾向にある
◇ 肝臓がん、大腸がんは、近年急速に頻度が上昇しつつある
◇ 食道炎は胃液の逆流によるものと、カンジダによるものが多い
◇ 急性腹症とは、本来腹痛を伴う腹部疾患で外科的手術を必要とするものの総称
○変形性関節症
◇ 関節軟骨の変性と骨増殖、関節変性をもたらした状態
◇ 運動時の関節痛が初発症状
◇ 痛みを伴う運動制限が起こる
◇ 女性に多く、肥満と関係がある
◇ 関節の圧痛、腫脹、水腫
*糖尿病
◇ 高齢者の糖尿病は軽症のものが多く、口渇、多飲、多尿などの症状に乏しい
◇ 合併症として視力低下、下肢の錯覚感覚などの症状
◇ 糖尿病の薬物治療を行っている患者は薬物性の低血糖がある
*高齢者にみられる外陰部・膣の疾患
◇ 女性ホルモン(エストロジェン)が不足した状態となり、膣炎が生じる
◇ 子宮脱、子宮がん、子宮頚がん
◇ 高齢者では、卵巣がんの発見が遅れがち
◇ 高齢者に極めて多い皮膚疾患に掻痒症がある
◇ カンジダ症、帯状疱疹、ヒゼンダニ感染による疥癬
◇ 帯状疱疹は水痘ウイルスによるもので、必ず身体の片側に帯状に出現し、顔面、胸部などに多く、抗ウイルス剤の点滴が著効
* バイタルサインの観察と評価
◇ 血圧・呼吸・体温・脈拍・心拍・意識レベルの観察と、その結果の評価として異常か正常かの判断を行う
◇ バイタルサインのチェックは生命維持の基本的ニーズを判断することでもある
@ 体温
◇ 体温には、腋窩温、口腔温、直腸温がある
◇ 多くの病気で発熱が重要な指標として欠かせない
A 脈拍
◇ 脈拍とは、左心室の収縮に伴って上下する動脈血圧のために動脈に生じる鼓動である
B 呼吸
◇ 呼吸の観察は呼吸数、呼吸音、深さ、規則性、呼吸臭に注意する
◇ 咳、気道の分泌物、嗄声(しわがれ声)に注意する
C 血圧
◇ 血圧(動脈血圧)は一つの動脈に作用させた外圧を、その動脈内の圧力と等しくさせることによって測定する
D 意識レベル
◇3−3−9度方式などを用いて観察・評価する
◇ 体温測定には水銀体温計が最もよく用いられる
◇ 使用後に必ず水銀を35℃以下に下げておく
(1) 腋窩検温法
◇ 左右の腋窩温は、ふつう0.1〜0.4℃ほど異なる
◇ 腋窩が汗で濡れていないか、乾いたタオルでよく拭く
◇ 体温計の他端は体軸に45度の角度で足のほうをむくようにする
◇ 約10分後に示度を読む
(2) 口腔検温法
◇口腔では腋窩に比べ短時間で効果的に体温が測定できる
(3) 直腸検温法
◇最も完全な体腔の温度が得られる
◇ 脈拍の観察では、1分間の脈拍数、脈拍のリズム、動脈の緊張度、心臓の送血量の大小をみる
◇ 動脈の緊張が強く硬くふれるものを硬脈、弱くやわらかくふれるものを軟脈、送血量が多くて大きくしっかりふれるものを大脈、送血量の少ないものを少脈と呼ぶ
◇ 徐脈は、1分間の脈拍数が60以下となる(頻脈=100以上)
◇ 血圧とは血液が血管壁に及ぼす圧力の大きさで、一般に血圧という場合は動脈血圧を指す
◇ 心拍動ごとに血圧は変化する
◇ 成人では一般に最高血圧120〜130mmHg、最低血圧70〜80
mmHg、脈圧は40〜50 mmHgとされている(3:2:1の割合を保持する)
◇ 一般に暖かいときには低下ぎみ、寒いときは上昇ぎみとなる
◇ 白衣高血圧
◇ 浅い呼吸と深い呼吸を繰り返す場合は、脳血管障害のような中枢障害を考える
◇ 下顎呼吸は生命予後が悪い
◇ 健康な人の安静時の呼吸数は、成人で毎分15〜20回である
◇ 一般に60歳を超えると、80%の人は何らかの異常値を持っている
◇ 最近は正常値より基準値が使用されることが多い
◇ 基準値: 医学的に健康と判断された状態での臨床検査の数値および結果である
◇ 特に高齢者では個人差が大きく検査値を読み取るうえで基準値の概念が重要である
◇ 高齢者では静脈が脆く採血が困難であることがしばしばあり、採血時の溶血が問題となる場合が多い
◇ 血清カリウムやLDHが高値になるので注意が必要
◇ 検査値は加齢の変化を受けるものもあり、高齢者では若年者と違う基準値を設定しなければならない検査も多い
○高齢者で特に基準値の設定が必要な検査項目
1 血液生化学検査 正常高齢者では血清蛋白、脂質、肝機能、電解質などに若年者と別の基準値の設定の必要ない
2 血算 白血球数に変化なし。赤血球数、ヘモグロビンは高齢者では低下傾向があるが、基準値の設定は特に必要なし
3 内分泌機能 血中性腺ホルモンの低下および性腺刺激ホルモンの増加。高齢者では基準値が必要
4 呼吸機能 肺活量、1秒率、1秒量、動脈血酸素分圧の低下、全排気量、残気量の増加
5 免疫機能 免疫グロブリン(IgG、IgA)の増加、遅延型皮膚反応の低下
6 腎機能 クレアチニンクリアランスの低下
7 循環機能 最大心拍数、最大酸素摂取率の低下
8 代謝機能 糖負荷試験2時間値の増加
(1) 総蛋白
◇ 総蛋白はアルブミンとグロブリンからなる
◇ 高齢者では低下する傾向がある
◇ 高齢者の正常下限は6.0g/dl
(2) アルブミン
◇ 高齢者の栄養評価に最もよい指標である
◇ 感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患等、数多くの疾患でアルブミンとグロブリンの量の比率の変動が見られる
◇ 2.5g/dl以下になると浮腫を来す
◇ 高齢者ではグロブリンの増加傾向が認められる
(3) 血清脂質(コレストロール、中性脂肪、HDLコレストロール)
◇ 血清コレストロール、中性脂肪は加齢とともに上昇するが、60〜69歳をピークにその後やや下降する傾向
◇ HDLコレストロールの低値が虚血性心疾患の危険因子の一つ(50以上?)
◇ 高齢者では40r/dlが正常下限
(4) 血糖
◇ 空腹時血糖には加齢による変化が少ない
◇ 高齢者では耐糖能が低下しており、経口糖負荷試験(OGTT)では負荷後の血糖は高値を示す(インシュリンが間に合わない)
◇ Hblcなどにより糖尿病の診断を行う
◇ 糖負荷後1,2時間の血糖値は、10年で6〜13r/dlの割合で増加
◇ 男性より女性が約10r/dlの高値を示す
(5) 肝機能
◇ 肝胆道疾患、心筋梗塞では血清GOTは上昇するが、加齢による変動はない
◇ 血清GPTの加齢による変動はない
◇ 肝疾患の判断、経過観察に有用である
◇ ALT(アルカリ性ホスファターゼ)は、女性では加齢による変動が認められ50歳前後から上昇するが、男性は加齢による大きな変動はない
◇ γ―GTPは男性が女性より多い
(6) 腎機能(尿素窒素(BUN)、クレアチン(Cr))
◇ BUNは腎機能の低下時、消化管出血時、脱水症などで上昇する
◇ クレアチンは腎機能低下を反映する
(7) 電解質(ナトリウム(Na)、カリウム(K)、塩素(Cl)))
◇Na、K、Cl 共に加齢による上昇傾向があるといわれるが、変動はわずかなものなのであるので、基準値としては、一般成人のものをそのまま適用してよい
(8) その他の生化学検査
◇ CRPは炎症を反映し、感染症や膠原病、胆がん状態の場合、重要で、白血球などと同様に鋭敏な指標である
◇ 高齢者では非常に重要な検査項目である
◇ LDHは男女とも30歳ごろより徐々に軽度上昇を示すが、基準値を設定し直すほどではない
◇ クレアチンキナーゼ(CK)は心筋梗塞の診断に有用である
(9) 血液学的検査
◇ 赤血球数(RBC)については、高齢者ではヘモグロビン(Hb)濃度、赤血球数、およびヘマトクリット(Ht)値のいずれも低下していて、加齢とともに著しい
◇ 赤血球は大球性となる
◇ 白血球(WBC)は炎症や白血病などで増加し、低下する場合は再生不良性貧血や薬剤などで骨髄が抑制された場合
(10)胸部レントゲン検査
◇呼吸器疾患、心臓疾患の有無が判断できる
(11)心電図
◇高齢者に多い心疾患等の診断が可能である
◇ 介護は、生活行為に対する援助を指す
◇ 家事援助は、日常生活動作(ADL)と手段的日常生活動作(IADL)に対応する援助
◇ 身体介護は、家事援助の支えなしに行うことはできない
◇ できるだけ自分で食べられるように援助すること
◇ 口から食べられるように工夫すること
◇ 心理的、社会的、文化的欲求が満たされるように援助すること
(1) 食事摂取の過程と問題
◇ 食欲摂取の過程と加齢・障害による問題点
食 欲 ↓ 味覚・嗅覚・視覚の低下
摂 食 ↓ 上肢の障害――麻痺・関節のこわばり・ふるえ・握力低下
咀 嚼 ↓ 歯牙の欠陥
嚥 下 ↓ 嚥下反射の低下
消化・吸収 ↓ 消化管の萎縮性変化、消化液の分泌の低下
排 泄 ↓ 腸管の蠕動運動の減弱
(2) 介護上の問題のチェック
@ 食事摂取量
◇残食、偏食、食べこぼし、飲水量、等をチェック
A 食欲
◇ 嗜好、体調、環境(時間、清潔感、雰囲気)、薬剤、食事への苦情や希望(好みや不満を伝えられるか)、
過食、拒食、精神的問題(うつ、興奮、せん妄)
◇ 便秘が食欲不振を引き起こしていないか
B 摂食動作
◇食事動作の自立度、使用している特別な食器、失行、失認
C 咀嚼、嚥下機能
◇脳卒中、呼吸器障害
D 歯、口腔問題
◇ 残存歯の状態、義歯の使用や適合
◇ 口腔の炎症や痛み
◇ 歯磨き
E 精神的問題(うつ、痴呆)
◇うつ病やうつ状態が、拒食や食欲不振に結びつく
F 介護不足
◇ 時間や労力をかけない
◇ 知識不足
◇ 工夫が足りない
*看護上配慮すべき問題
◇褥瘡、脱水、貧血、感染症、便秘、下痢、気管切開、徘徊
(1) 食欲不振への対応
◇ 食事をとれない原因を考える
@料理不足 A不適切な食品選択 B不適当な食事時間
C食欲不足の要因
◇料理内容、食事の出し方、食事を摂取する姿勢、など
(2) 歯・口腔問題への対応
◇ 歯牙の欠損は、咀嚼力が低下するために、やわらかい食品を摂取することから、便秘を誘発する
◇ 糖質に食事が偏り、蛋白質などの栄養素が欠乏する
◇ 口腔を清浄に保つことが大切である
(3) 嚥下困難への対応
◇ 飲み込みやすい食品 ―― プリン状、ゼリー状、マッシュ状、とろろ状、粥状、
ポタージュ類、乳化状、ミンチ状
◇ 嚥下困難を誘発しやすい食品 ―― スポンジ状、練り製品、口の内に粘着するもの、
豆類、コンニャク、油揚げ
◇ 深呼吸、口を動かすなど、をしてから食べ始める
◇ 飲み込むときは少し息を止めて、口をしっかり閉じて飲み込む
◇ 一口に食べる量は、ティスプーン1杯程度とする
◇ むせが強い場合は、寄りかかって食べる。このときあごは必ず引いておく
◇ 口腔をチェックし食物が残っているような場合は、空嚥下を2〜3回するか少量の水を飲んで、何度か飲み込む
(4) 摂取自立への援助
◇片麻痺を伴う場合
・ 利き手側に麻痺がある場合には、利き手の変換を試みる
・ 上肢の障害がある場合は、特殊な食器類の自助具を活用する
◇視覚障害を伴う場合
・ 食事の前に、料理の献立や食事の配列を説明する
(5) 精神的問題
◇うつ状態には、周囲の慰めや支持が不可欠である
(6) 便秘・下痢の場合の食事
○ 便秘の場合
◇ 便秘を予防し、改善するには、食事量を十分とり、かつ繊維性食物を摂取しなければならない
◇ 歯牙の治療、適合した入れ歯の装着は、高齢者の便秘予防の根本策
◇ 繊維性に富む新鮮な野菜や果実を十分に取る
◇ 煮豆や卯の花には繊維が多く含まれている
◇ 水分摂取量の不足は便秘の原因になる
◇ 体内の水分が不足すると、それを補うために腸からの水分の再吸収が促進され、便はいっそう固く乾燥する
○ 下痢の場合
◇ 高齢者は嗅覚が低下しているため、腐敗した食べ物を知らずに食べてしまうこともあるので、周囲の人が注意する
◇ 下痢になったとき、脂肪はかなり制限し、水分補給には十分注意する
(7) 脱水の予防
◇ 高齢者は若年に比べると20%程度、体内の水分量が少ないので、簡単に脱水状態になりやすい
◇ 脱水が起こると、脱力状態や発熱・意識状態の低下などが引き起こされる
◇ 食事が十分にとれないときには、とりあえず必要な水分量(1日つき1000〜1500ml)の補給を怠らないようにする
◇ 1日の食事量に含まれる水分量は(味噌汁なども含めて)、およそ700〜1000ml
◇ 排泄が正常にコントロールされていることは、人間が生命を維持し、日常生活を快適に行うための基本的条件である
◇ 排泄障害の予防・早期発見
◇ 排泄障害の憎悪・拡大の防止
◇ 排泄障害の改善・自立
◇ 二次的障害(尿路感染症、褥瘡など)の防止
◇ 排泄障害による生活上の影響の除去 ――
夜間頻尿による安眠の妨害、活動性の低下、気がね、うつ状態
◇ 失禁になると、不潔になる
◇ 身体的な苦痛にとどまらず、人間としての尊厳喪失や周りからの疎外、また世話を受けることの羞恥心や気がねなど精神的苦痛が伴う
◇ 女性は男性より尿道が短いので、中高年女性は笑ったとき、咳をしたときなど、おなかに力が入ると漏らしやすくなる。これを腹圧性尿失禁という
◇ 尿意を我慢できずに漏らしてしまうのを切迫性尿失禁という
◇ 排泄動作が適切にできないために失禁が起こる場合を機能性尿失禁という
◇ オムツを長く当てることになると、尿をしたい気持ちがなくなり、垂れ流しの状態になり、精神活動も停滞して人為的痴呆状態に陥る
◇ 失禁者の中に尿意がない人は少ないことを忘れてはならない
◇ オムツを安易に着用させることは、次のような理由から戒めるべきである
・ 自尊心を傷つけるため、本人の納得のいかないオムツの着用は、知的機能の衰退(痴呆)やうつ状態を誘発しやすい
・ オムツの着用は、常時排尿体制をとることを意味するため、尿意の後退をもたらしやすい
・ 留置カテーテルの安易な使用も、オムツの着用と同様の結果をもたらし、さらに尿路感染症を引き起こしやすい
◇ 間に合わない人の場合は、トイレの近くを居室とし、場合によってはポータブルトイレを使用
◇ 動けない人のためにオムツを着用している場合は、尿意の察知が重要、本人が尿意を感じていても、的確に表現されないため、
モゾモゾする、足を上げる、奇声を発するなど尿意のサインを表出している
◇ 尿意がはっきりしていない場合には、昼間に集中して排尿誘導を行う。夜間の誘導は昼間の排尿が自立してからとする
◇ 排尿誘導を試みる段階でオムツを外すと排尿の自立を獲得するまで、一時的に汚す頻度が多くなる
◇ 排尿誘導は、失禁が始まってからの期間が短いほど成功する可能性が高い
◇ 便秘は失禁の発生に深い関わりがある
◇ @初めは皮膚が赤くなる(発赤)だけだが、
A血流の流れが悪くなると黒ずんできて(壊死)、
B皮膚の表面がむけて
C傷口がただれ潰瘍状になる
◇ちょっとした油断や不注意から1〜2日のうちに作られてしまう
◇ 褥瘡のできやすい人
@ 麻痺などため自分で寝返りのできない人
A 痴呆などため自分で動こうとしない人
B やせている人
C 尿・便の失禁のある人
D 末期状態にある人
◇ 褥瘡を予防するには、身体の1点を圧迫することを避けるため体位変換を頻繁に行うことや、
不潔、湿潤、摩擦、栄養不良など褥瘡の発生要因となるものを、介護によって取り除くこと
(1) 寝返り(体位変換)
◇ 座位保持や、2時間ごとに体位変換する
◇ 予防用具(エアマット、スポンジマットレスなど)をあわせて使用する
(2) 身体の清潔
◇ 入浴は、褥瘡予防に効果的である
◇ 発汗時などはそのつど清潔にする
◇ 圧迫を受けやすい背部や臀部のマッサージを行う
◇ 発赤部分のマッサージは避ける
(3) 寝衣・寝具
◇ 皮膚の保護(まくら、クッションの使用)
◇ 皮膚の損傷を避ける
・ 寝衣やシーツには糊をつけすぎず、しわをつくらないように注意する
・ 乱暴な便器の挿入を避ける
(4) 排泄
◇ オムツカバーやゴム布、ビニール類は皮膚を湿潤させ、褥瘡を発生させる原因になる
(5) 栄養
◇高蛋白、高カロリー、高ビタミンの栄養補給に努める
(6) 予防用具
◇ 介護の不足を補い、また介護の効果をより高めるために、褥瘡予防用具を適切に活用することが大切である
◇ 体圧の分散、皮膚面の摩擦を和らげる、通気性をよくするなどの目的で使用する
◇ 発赤の状態のときは清潔にして、皮膚を傷つけないように保護しておけばよいが、皮膚がむけたときには手当が必要
◇ 褥瘡は発赤の段階で発見し、適切な介護によって進行させないこと
◇ 発赤部は温湿布や周辺のマッサージによって血液循環を促し、圧迫や摩擦を避け、発赤は褥瘡の赤信号と考え、この段階で進行を阻止するよう全力を注ぐ
◇ 褥瘡部は細菌が感染しやすくなるので、創部の消毒によって感染を防止する
◇ 褥瘡がびらん以上に進行したばあいは、創部や周囲の皮膚を少なくとも1日1回は消毒し、滅菌ガーゼを当てる。滲出液や排膿の状態によって回数を増やす
◇ 老人の不眠の背景
@ 日中の活動不足
A 昼間の居眠り
B 夜間頻尿による頻回な覚醒
C 腰痛・関節痛などの疼痛、皮膚の掻痒による入眠困難や覚醒
D 夜間の不安感の増強
E 疾患からくる不眠(高血圧症・脳動脈硬化症・老年痴呆・うつ病)など
*安眠対策
◇ 不眠の援助の第一歩は、不眠状況をよく聞いて情報を集めること、そしてその原因を取り除き、安眠への対策を考える
@ 就眠前の援助
・ 入浴は就眠を誘ううえで効果がある
・ コーヒーなど精神の興奮を誘う飲み物を控える
・ 就寝前に、テレビや読書などによる刺激を避ける
A 日中の過ごし方
・日中に体を動かしたりして活動を十分に行い、かつ、規則的なリズムのある生活パターンをつくる
B 薬の服用
・ 種々の条件を整えても安眠が図れないときには、睡眠薬が処方される
・ 睡眠薬の乱用は、不眠の原因ともなるので、あくまで慎重な与薬が必要である
@ 清潔に対する意思や習慣を尊重しつつ、必要とされる清潔の保持を図ること
A 清潔の保持が自力でできるように援助の方法を工夫する
B 皮膚の性状に配慮し、皮膚炎や褥瘡などのトラブルを解消したり、予防すること
◇ 全身を清潔にする方法には、入浴、シャワー浴、清拭があるが、状態に合わせて随時方法を選択する
*援助のポイント
@ 清潔方法の可否の判断(全身状態やバイタルサインによる判断)
A 周到な準備(湯加減、室温、必要物品の準備)
B 全身状態の観察(皮膚の変化)
C からだをよく動かす(手足の運動)
D 安全性の配慮(転倒、やけど)
E 事後の配慮
・水気を十分にふきとって風邪を引かせないようにする
・入浴後は爪がやわらかくなるので、伸びた爪は切っておく
・水分補給
・保温に気をつけて休養をとらせる
◇ 運動機能障害のある高齢者の入浴動作の支障を補い、かつ介助の労力を軽減するための介助法を工夫し、設備を整えていく必要がある
◇ 器械による入浴は恐怖を覚える人も多いので、声をかけながら不安感を取り除くように援助する必要がある
◇ 入浴が許可されない場合や、設備の不足のため入浴が不可能な場合、清拭を行う
◇ 汚れやすい陰部や足などの部分清拭は、汚れたつど行う
◇ 背部や臀部など褥瘡の好発部位も、頻回に清拭やマッサージを行う
*清拭時の留意点
@ 石鹸や清拭剤は、脂肪分を除去しすぎない、保護機能のある成分のものを使う
・アルコールは皮膚を乾燥させるので、高齢者には不向き
A 汚れに気づきにくい部分を丁寧にふく
B 褥瘡予防のために、背部・腰部・足部などのマッサージを行う
C 清拭がすんだ後には、乳液やクリームなどを塗って、皮膚に潤いを与える
○ 高齢者の下肢は、皮膚の乾燥によって鱗屑が目立つ部位の一つであるので、清拭だけにとどめずに、足浴をする
◇入浴の際などに、寝衣やシーツを決まって交換するほか、汚れたときには、そのつどこまめに交換し、清潔にしておく
◇口腔の3大機能 @咀嚼、A嚥下、B発音
◇ 歯科医療は、すべての過程で失われた機能が本来の歯列の形態に戻すことであり、機能回復させること(=リハビリテーション)であるといえる
◇ その目的のために口腔ケアを行うことにより、健康を保持増進し、生命の質を高めることが可能となる
◇ 歯のない人がしっかり噛める入れ歯を装着することの効果
@ 頭・顎の骨・葉と歯周組織の健全性の保持
A 噛むことによる脳への刺激
B 唾液の分泌が促進され口腔内が清潔になる
C 良く噛むことにより満腹感の獲得
D 咀嚼に関係する筋肉の萎縮を防止する
E 下顎の位置や動きは姿勢の制御に関係する
F 食べること話すことが不自由なくでき、ストレスを防止する
(1) 口腔の構造
◇ 永久歯は上顎に14本と下顎に14本で合計28本から歯列弓は成り立っている
◇ 若く健康な歯は、歯冠部と歯根部が完全な形でできており、歯が見えている部分よりむしろ骨の中に入っている部分のほうが長いのが普通である
(2) 口腔内の観察
◇歯を失う原因の多くはう蝕と歯槽膿漏である
(3) 口腔ケアの基本
◇ 口腔清掃の基本はブラッシング(歯磨き)、フロッシング(デンタフロス)、リンシング(洗口)である
◇ 麻痺している側の頬の内側に食べかすが停滞していることが多く見られる
1.リハビリテ−ションとは
◇ 人間が人間にふさわしくない(望ましくない)状態に陥ったときに、それを再びふさわしい状態に戻すことがリハビリテ−ションである
◇ 障害があっても、人間らしく生活し、生きることを支えること、つまり「全人間的復権」や「生活の再建」がリハビリテ−ションの最終目標
2.障害とは
◇障害を"機能・形態障害""能力障害""社会的不利"の三つのレベルに分ける
◇ リスクチェックの必須項目
@ 疾病や障害の確認
・運動が制限される疾病や障害はないか
・どの程度の運動なら許可できるか
A バイタルサイン
・主に血圧、脈拍、体温、呼吸など
B その他
・睡眠パターン、疲労感、疼痛、転倒の可能性など
◇ 高血圧症のケースでは運動中に拡張期血圧(最低血圧)が120oHgを超えたら運動を中止する
◇ 心疾患では、安静時の脈拍が100を超える場合、拡張期血圧が110oHg以上の場合などは運動を行わない
(1) 拘縮と関節可動域
◇ 拘縮とは、関節包や靭帯など関節を構成する組織や周囲の組織が伸縮性を失い、短縮し、正常な関節の動きが阻害された状態をいう
◇ 関節可動域
・ 関節の動く範囲を関節可動域(range of motion:ROM)といい、関節ごとに動く範囲は異なる
・ 関節可動域の測定は、リラックスした状態で、ゆっくりと関節を動かし、痛みが起こらない範囲で行う
◇拘縮の予防には、良肢位の保持、体位変換、関節可動域訓練などがあるが、これらの対応は褥瘡の予防にも通じる
@ 良肢位の保持
・ できる限り関節拘縮をつくらないような予防的な姿勢、あるいは関節が仮にその位置で動かなくなっても日常生活動作に及ぼす障害が最も少ない肢位を良肢位という
A 体位変換
・ 良肢位を保っても、同じ姿勢が長時間続けると褥瘡や拘縮につながるので、2〜3時間ごとに、姿勢を変える
B 関節可動域訓練
・ 関節可動域訓練は、関節を自分で動かす方法(自動的訓練)と、介護者が他動的に動かす方法(他動的訓練)に大別され、拘縮を予防または改善する効果がある
(2) 筋萎縮と筋力
◇筋肉は使わないと萎縮し、筋力は低下する
@ 筋力の強さの分類
・ 筋力がどの程度なのかを表現する代表的な方法に、徒手筋力テスト(manual
muscle test : MMT)がある
A 筋萎縮の予防
◇ 体位変換
◇ 筋力増強のための運動
・ 筋力増強のための運動は、適切な方法で行わなければ目標とする効果が得られなかったり、誤用症候群を起こす場合もある
・ 誤用症候群=誤ったリハビリテ−ションなどで引き起こされる症候群で、関節炎、靭帯損傷、疲労骨折、過度の筋肉痛・疲労などがある
・ 自動介助運動――足りない分を介助しながら行う運動
・ 自動運動――重力にに逆らって自分だけの力で動かす運動
・ 抵抗運動――負荷を加え、それに打ち勝って行う運動
・ 等尺運動――関節は動かさずに筋に力を入れる運動
◇日常生活動作の励行
◇趣味やレクリエーションの継続
(1) 知的低下、精神面の障害
(2) 失行・失認
◇ 失行とは、四肢の運動が可能であり理解も良好であるにもかかわらず指示された動作や、使い慣れた物をうまく使えないなど、目的に沿った運動や動作が困難な状態
◇ 失認とは、痴呆や意識障害、感覚障害がないにもかかわらず、ある感覚(視覚、聴覚、触覚など)を介して対象物を認知できない状態をいう
(3) 言語の障害
◇ 構音障害とは、俗に"ろれつが回らない"という状態をいい、構音器官(舌、口唇、咽頭、軟口蓋など)の麻痺や、筋相互の協調運動障害による
◇ 失語症とは、脳卒中などの結果、言葉を話したり、聞いて理解したり、文字を書いたり、読んで理解するなどの能力が障害された状態をいう。右片麻痺に合併することが多い
(4) 嚥下の障害
◇食べ物や水分を飲み込むことが困難な状態を嚥下障害という
(5) 感覚の障害
◇ 重度の感覚障害では、やけど、褥瘡などが生じても気づかず、感染症などを合併しやすいので注意を要する
(6) 不随意運動
◇ 本人の意思とは関係なく生じるさまざま動きをいい、多発性の脳梗塞、パーキンソン病、小脳性の失調症などによって起こるものが代表的
◇ 日常生活動作や歩行の支障となり、緊張するほど不随意運動が強くなる
(7) 痛みやしびれ
◇ 介護で問題となるものには、肩関節亜脱臼、肩手症候群、視床痛などがある
◇ 肩関節亜脱臼
・ 麻痺のために筋の緊張が低下している場合に合併しやすい
・ 関節可動域訓練や日常生活動作の介助の仕方が不適切な結果、生じることが多い
◇ 肩手症候群
・ 肩と手関節の痛みを伴う運動制限と循環障害が特徴である
・ 脳卒中、頚椎の障害に合併することが多い
◇ 視床痛
・ 脳の視床に出血や梗塞がある事例におこる合併症で、激しいしびれ感や疼痛を訴える
◇ 日常生活の中で、寝た位置から起き上がり、立ち上がって歩くまでの動作を基本動作といい、寝返り、起き上がり、坐位、立ち上がり、立位、歩行に分類される
◇
(1) 寝返りのポイント
・ 健側の足を患側の足の下に入れる
・ バンザイの要領で両手を目の高さまで上げる
・ 頭→肩→腰→足の順で体をひねり、横向きに(健側に寝返る)
・
(2)起き上がり〜座位
・ 寝返りで横向きになり、両足をベッドの外に垂らす
・ 肘に重心を移し、肩を起こす
・ 肘を伸ばしながら、身体を起こす
・ 座位は、顔や首はまっすぐ、両肩は水平に、体重は左右均等に、背筋もまっすぐ、両足は肩幅より少し広く開いて床にぴったり
(3)立ち上がり〜立位
・ お尻を前にずらす
・ 健側の足を手前に寄せる
・ おじぎをするように身体を前に傾けながら、健側の手でベッドを押す
・ しっかりふんばって、お尻を浮かす
・ 腰を伸ばしながらゆっくり身体を起こして立つ
・ 膝を伸ばす
・
(4)歩行
・ 杖を出す(杖は原則として健側で、大転子の高さ)
・ 患側の足を振り出す
・ 身体はなるべくまっすぐのまま、足はゆっくり正面に振り出す
・ 健側の足を振り出す
・ 身体はなるべくまっすぐのまま、足はゆっくり正面に振り出す
・ できるだけ患側の足にも体重をかけ、しっかり支える
・ 階段や坂の昇りは、杖→健側の足→患側の足、の順
・ 階段や坂の降りは、杖→患側の足→健側の足、の順
・ エスカレーターは、健側の足から乗るほうが安全
・ 溝や障害物は、杖→患側の足→健側の足、の順でまたぐのが基本
◇ 日常生活動作(ADL)
・ ひとりの人間が独立して生活するために行う基本的な、しかも各人とも、共通に毎日繰り返される一連の身体的動作群
・ 食事、排泄、更衣(着替え)、整容、入浴、起居移動の6動作が取り上げられる
◇手段的日常生活動作(IADL)
・日常生活動作以外にも、炊事・洗濯・掃除などの家事、買い物、金銭管理、趣味活動、公共交通機関の利用、車の運転、など様々な活動
◇ 寝たきり状態にある人は、重度の麻痺、関節可動域の制限、知的機能の低下、疾病の合併、など様々な問題を抱えている場合が多い
◇ 長期臥床により、さらに廃用症候群が進むこともあり、リハビリテ−ションでは、関節可動域や筋力の維持に努め、可能な限り座位生活の確保に努めたい
(1)関節可動域訓練
◇関節可動域制限は介護負担を増し、褥瘡の発生につながる
(2)筋力増強のための訓練
◇ 四肢に限らず、頚部や脊柱、殿部など残存するすべての筋力を維持することに努めたい
(3)座位生活
◇ ギャッチベッドや車椅子を活用して、可能な限り座位生活を取り入れることが重要であり、座位生活は廃用症候群の予防にもなる
(4)日常生活動作
@ 食事
◇ 咀嚼や嚥下などに障害がある場合、食物をつまむ・すくう・口まで運ぶなど食事動作に問題がある場合には介助や自立を図るための工夫が必要となる
◇ 座位での食事は嚥下を助け。誤嚥を防ぐばかりでなく、座位時間の確保や食事摂取への意欲向上、介護者の負担軽減にもつながる
A 排泄
◇ 大半の人はベッドでの排泄を余儀なくされる.排泄の援助は、他のADLより介護頻度が高く、夜間の介護なども加わり最も介護負担を招きやすい
◇ 座位は可能でも歩けない場合、車椅子での生活が保障されない限り生活空間は制限され、生活の仕方によっては徐々に寝たきり状態に陥る危険性を秘めている
◇ 離床を基本とし、最小限の介助で最大限能力が活用できるよう環境整備を含めた生活の仕方を工夫することが要点となる
(1)関節可動域訓練
◇このレベルでは自動運動が概ね可能であり日常生活での習慣化に努める
(2)筋力増強のための訓練
◇このレベルでは自動運動が概ね可能
(3)移乗動作訓練
◇介助量の軽減や安全性を高めるためには必要
(4)日常生活動作
○更衣
・ 安定した座位が可能であれば、概ね更衣が自立できる
・ 上着の着脱は、座位で行ない、着衣時は"患側の袖通し→健側→首通し"の順番で行ない、脱衣時は逆の順序で行う
・ ズボンの着衣では、座位で患側の足、ついで健側の足を通し膝上まで上げた後、ベッドに横になり左右に腰を動かしながら殿部まで引き上げる。脱衣は逆の順序で行う
(5)環境整備
◇ベッドは、深く腰をかけて足底が床に着く高さ
◇ 車椅子は直進するだけなら、通路幅が75cmあれば通れるが、方向変換するには90cm以上、360度方向変換するためには直径150cm以上のスペースが必要となる
◇ 部屋の段差が2cm以上あると車椅子は通れない
◇ ドアは引き戸が望ましく、レバーハンドルを床から85〜90cmの高さに取り付ける
◇ 玄関のスロープの傾斜は10〜20度程度とする
◇ 洗面台の高さは約80cmにする
◇ トイレのてすりは、縦と横方向に2本取り付け、縦てすりは便器前面より20〜30cm離し、床から40〜50cmの位置を目安に取り付ける
◇ リハビリテ−ションのポイント
・ 日常生活動作の自立を図るため環境を整備し、
・ 屋内生活の自立を図ること、
・ 役割や趣味を取り入れた活動的な生活を送ること、
・ さらに積極的に屋外に出向き体力の維持・増進や地域社会との交流、社会参加を図ることが
◇ 痴呆とは
・ 「脳の後天的な器質障害により一旦獲得された知能が、持続的かつ比較的短期間のうちに低下し、日常生活に支障をきたすもの
◇ 原因
| 脳血管障害 | 脳出血、脳梗塞 |
| 脳変性疾患 | アルツハイマー型痴呆、ピック病、ハンチントン舞踏病 |
| 外傷性疾患 | 頭部外傷、慢性硬膜下血腫 |
| 感染性疾患 | 進行麻痺、各種髄膜炎及び脳炎 |
| 内分泌代謝性疾患 | 甲状腺機能低下、副甲状腺機能異常、ビタミンB12欠乏症、ウイルソン病 |
| 中毒性疾患 | アルコール、鉛、水銀、マンガンなどの中毒、CO中毒 |
| 腫瘍性疾患 | 脳腫瘍 |
| その他 | 正常圧水頭症、てんかん、多発硬化症 |
◇痴呆性老人にみられる一般的特性
| 基本症状 | 記銘・記憶力障害、 日時・場所・人物の見当識障害、 計算力の低下、 知識の低下、 理解力・判断力の低下 |
| 日常生活能力の 障害 |
着脱衣行為の傷害、 食餌摂取行為の障害、 排尿・排便行為の傷害(失禁)、 入浴行為の傷害、 歩行の障害(寝たきり) |
| 行動異常(問題行動) | 徘徊、 叫声、 昼夜の区別不能、 攻撃的行為、
破衣行為、 不潔行為、 ろうか弄火行為、 収集癖、 わいせつ行為 |
| 随伴精神症状 | 過食、 異食、 自傷、 自殺企図、 不眠、 情動興奮、
せん妄、 抑うつ、 躁状態、 幻覚、 妄想、 人格変化 |
| 身体症状 | 運動障害、構語障害、 嚥下障害、 摂食障害 |
◇ 原因のうち、代表的な疾患は、アルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆であり、両者で老年期にみられる痴呆のおよそ75〜80%を占める
◇ 痴呆の疫学
・ 老人性痴呆(65歳以上)の有病率は、6.3%(男
5.8%、女 6.9%)である
・ 5歳年齢が上昇するにつれて2倍となっている
・ 85歳以上では老人3〜4人に対して痴呆の老人は1人の割合となる
◇ 痴呆の診断
・ 実際の診断では、アメリカ精神医学会作成のDSM−W(診断統計マニュアル第4版)が一般に用いられている
・ 意識障害のない状態であっても認知欠損の状態があり、社会的または職業的機能の著しい障害を引き起こし、病前の機能水準から著しい低下を示していることを条件としている
◇ 痴呆の評価
・ 改訂長谷川式簡易知能評価スケール
・ 老人ぼけ(異常な知能衰退)の臨床的判定基準
・ 国立精研式痴呆スクーリング・テスト
◇ 70歳以上に好発する
◇ 女性に多い
◇ 人格は早期より崩れる
◇ 全般的痴呆
◇ 神経症状は少ない
◇ 脳萎縮(脳室拡大、脳溝の拡大)
◇ 50歳以後、加齢とともに増加
◇ 男性に多い
◇ 人格は比較的良く保たれる
◇ まだら痴呆
◇ 神経症状がある
◇ 病巣に一致した低吸収域
◇初老期とは、通常、50歳前後〜65歳未満
*ピック病
◇ 初老期に発病
◇ 神経細胞の著しい減少とピック細胞の出現
◇ 発病初期には、記憶障害よりも人柄の変化や言動の異常が目立つ
◇ 無分別な行動、盗み、性的逸脱行為、生来のその人の人柄からは考えられないような言動がしばしば出現する
(1) 一次的要因とその特徴
◇ 我が国の老人性痴呆の一次的要因としては、脳の退行性変化と脳血管障害が主
◇ 近年、アルツハイマー病の割合が急速に増加し、特に就労期に発病する若年性アルツハイマー病が大きな問題となりつつある
(2) 二次的要因と痴呆の徴候
◇ 脳血管疾患による発作後の後遺症などの場合は、身体症状とともに明らかな痴呆の症状が現れる
◇ しかし、動脈硬化や多発性硬化症、アルツハイマー病などの場合、徐々に異常な行動が進行し、初期には、性格的なものか痴呆によるものかを判断することは、家族であっても困難なことが多い
◇ 一般にアルツハイマー病のほうが初老期に発症する割合が高く、進行が速いといわれているが、疫学的に確認することは難しい
◇ 介護の期間
・ 平均で6〜7年で、10年以上の例も3割以上となっている
・ 問題行動も多様で介護者の心身の負担は、寝たきり老人などに比べて非常に高い
(3) 老人性痴呆の判断の重要性と困難性
◇高齢者の痴呆の状態を適切に把握し、介護サービスを行うことは重要であるが、その正しい判断と援助メニューを組むことは困難な場合が多い
◇<痴呆高齢者への接し方のポイント>
@ 高齢者を受け入れ、とにかく聞いてあげる
A 安心感を与える
B 高齢者のニードやテンポに合わせる
C 柔軟性のある態度で接する
D 自尊心を傷つけない
E わかりやすく、具体的な話し方をする (短く、はっきりと、やさしく、具体的になじみのある言葉で、先取りしない)
F 温かみのある言葉づかいと、やさしいスキンシップをする
◇ <痴呆高齢者への援助のポイント>
@ 痴呆の程度と内容を知る
A 高齢者のできることに合わせる
B 残された機能に働きかける
C 高齢者の生活歴や行動パターンをよく把握し、対処する
D 現実を知らせる
E 人間的な感情を無視しない
F 安定の位置を与え、不安を与えない
G 孤独にさせない、寝込ませない
H 高齢者の役割を見つける
I 高齢者どうしの交流・仲間づくりをする
J 急激に環境を変えない
K 身体的疾患は「痴呆」を進ませる
L 危険を防止する
◇ <介護者への援助のポイント>
@ 痴呆について理解を深められるように援助する
A 介護方法についての具体的な技術指導をする
B 他の患者や親族の協力を具体的に得られるようにする
C 介護者の相談相手、仲間、友人をつくる
D 主治医(必ずしも専門医でなくてもよい)をもつようにする
E 介護者がお世話をする覚悟を決められるようにする
F 介護者の気分転換を上手にする
G 積極的に、社会資源の活用を図る
H 介護の限界の時を見極める
I 万一の時の対処の仕方や援助の求め方を知らせておく
(1) 介護家族の実態
◇ 介護者の8割以上が女性
◇ 70歳以上が14%を占め、介護者の高齢化が大きな問題
◇ 嫁が約半分を占め、次いで配偶者、娘、息子という順序になっている
◇ 都市的なところでは高齢者の配偶者が多く、農村的な地域では嫁が多い
◇ 嫁、娘、妻の順で介護についての犠牲感が強い
(2) 痴呆高齢者と「高齢者虐待」
◇ 虐待を受けていた高齢者の性別では、女が男の約3倍に達しており、75歳以上の後期高齢者が約6〜7割を占めている
◇ 心身状態では、ADLに何らかの障害のある者が約7割、痴呆症状のある者は4割を占めていた
◇ 心身の障害をもつことにより虐待を受けやすいが、特に知的能力の低下した痴呆性高齢者は、虐待を受けやすい
(1) 家族の介護力・対応能力(コーピング)
◇<要介護高齢者の介護力・対応能力>
@ 知的(問題解決)能力・自立能力
A 年齢や健康状況・時間的余裕
B 人間関係の対応能力
C 経済力・家政力
D 介護環境・条件の改善能力
(2) 介護者をめぐる人間関係の重層構造
◇ 障害や痴呆のある高齢者を支える社会的支援は、また家族を支えるネットワークでもある
(3) 介護の受容過程と援助の基本
◇<介護の受容過程と援助の段階>
@ ショック、混乱――出会いと方向付けの段階
A 怒り、否認、抑うつ――全人的受容の必要な段階
B 依存、回復への期待――同一化の段階
C 再適応の努力――探索と利用の段階
D 受容、再適応――問題解決と安定化の段階
(4) 介護の受容過程と家族の自立性・同一性の関連
◇家族診断の基準
@ 個人的同一性――高齢者や介護者その他の家族の各々の自立性
A 2人1対の家族同一性――高齢者夫婦の関係、高齢者と介護者、介護者夫婦関係
における安定性、自立性
B 家族集団の同一性――高齢者、介護者、その他の家族員の全体的な関係の安定性
◇ 介護のプログラム
・ デイケアやグループホームの活動を中心として、運動やゲーム、趣味などを取り入れた日課を組むことにより、高齢者に対するリハビリテ−ションと、介護負担軽減のためのサービスが行われる
(1) デイケア(脳のリハビリテ−ション訓練)、デイサービスなど
◇ 脳のリハビリテ−ション訓練は、デイケアやデイサービスの介護プログラムを総称するもの
◇ よく行われる種目の例としては、軽い体操や散歩、趣味やゲームなど
(2) 生活リハビリテ−ション(グループホームなど)
◇ 老人の生活の延長として、できるだけ環境や日常生活のリズム、役割などを変えないことによって、生活自立能力の保持と向上を図ろうとする介護プログラム
(3) 回想法
◇回想は高齢者の防御機制の低下の症状であると同時に、成長と変化を示唆する積極的な意味を持つ、という考え方に基づく介護プログラム
(4) リアリティ・オリエンテーション*
◇痴呆性高齢者の現実感覚を導き、失見当を改善する目的を持っている
* 「現実療法」(reality therapy): 現実に直面させ、無責任をしりぞけ、価値判断に基づき、
よりよい行動のあり方の立案、実行の援助が核心
(5) 音楽療法
◇ 音楽のもつ特質を活用し、心身に失調や障害のある人を回復に導く一種の心理療法
◇ 知的能力が低下しても、音楽能力は最後まで保存されるといわれている
(6) 家族会の活動
◇同じ経験を持つ家族が、介護の苦労や悩みをお互いに共感的に傾聴することにより、自分を客観的に見つめ、介護をすることの意味を見出し、成長していくことを目的とするセルフヘルプグループであるといえる
(1) 痴呆性高齢者の代弁機能(アドボカシー)と介護支援サービス機能
◇ 今後、介護支援専門員としての重要な資質は、疾病や障害をもつ高齢者への人権意識の向上である
◇ 特に、さまざまな疾病・障害などの身体的、精神的、家族的な複合的問題をもつ高齢者虐待の場合は、特に優れた介護支援サービス能力が必要とされる
(2) 病院・施設と在宅における痴呆性高齢者への介護支援サービスの特徴
◇ 介護支援専門員は、入院時から退院、さらに退院後を見通して介護サービス計画を立て、個別的なアプローチを徹底するとともに、チームワークによって、より効果的なケアを推進していく役割を持っている
◇ 在宅の痴呆性高齢者への介護支援サービスにおいては、高齢者だけでなく、家族支援を重視して介護サービス計画を立て、実施していくことが重要
◇ いわゆる公的なサービスである行政的地域支援は、家族の介護力を補うとともに、家族のもつ家庭内の介護力を高めるために直接的な支援を行う
◇ 一方、高齢者や家族を共感的に支援する役割をもつ民間地域支援を育成することも重要
◇ 老年期精神障害の分類
器質性精神障害 せん妄アルツハイマー型痴呆(早発性、晩発性)脳血管性痴呆初老期痴呆
ピック病
機能性精神障害 老年期幻覚妄想状態老年期躁うつ病(老年期気分障害)老年期神経症老年期人格障害
◇ せん妄とは意識障害の一種で、軽度の意識混濁に加えて錯覚、幻覚、それらに基づく妄想や興奮を伴う状態をいう
◇ 病名ではなく症状名であるが、老人ではしばしばみられるので病名同様に扱われている
◇ <原因>
・ 老人では脳の器質疾患(脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷、等)の際に発症することが多い
◇ <症状>
・ 心疾患、呼吸器疾患、腎疾患、感染症、骨折、手術、脱水、栄養失調、薬物などが原因でも生じる
・ 通常2〜3日から1週間程度で改善するが、長期間持続することもある
◇ 初老期あるいは老年期に初発し、幻覚や妄想を主症状とする疾患をいう
◇ 精神分裂病と近縁の疾患と考えられている
◇ <原因>
・原因は不明。男性に比べ女性は2倍以上の割合でみられる
・身体的・環境的な原因が引き金となることが多い
◇ <症状>
・比較的急速に発病し、幻覚と妄想を主症状とする
・ 幻覚は幻聴が多い
・ 妄想は圧倒的に被害・迫害・被毒・関係妄想が多い
・ 妄想の対象者は、ほとんどが近隣の人である
◇ <特徴>
・ 青年期の精神分裂病と異なり、人格変化や思考過程の乱れも少ない
・ 感情の交流もよく、大半の症例では、予後は割合良好である
*老年期の精神分裂病
◇ 精神分裂病とは、主に思春期に発病し、特有な精神症状を示し、人格の変化を起こし、末期には精神荒廃状態(欠陥状態)に陥る疾患
◇ 寛解、再燃を繰り返しながら老年期に至ると、陽性症状(幻覚、興奮等)は影をひそめ、陰性症状(無関心、自閉的態度等)が目立ってきて、幻覚妄想は残存していても、病像は一般に穏和化してくる
◇ 気分の高揚した躁病(躁状態)とうつ気分のうつ病(うつ状態)を示す疾患
*老年期うつ病
◇ 初老期(50〜64歳)に好発する
◇ 老年人口の約3〜5%
◇ 老人の自殺の主要な原因の一つ
◇ <原因>
・ 遺伝などの素因の関与はむしろ少ない
・ 心理、身体的要因が発症の契機
・ 患者の病前性格は、几帳面、真面目、熱中症、徹底性、正義感、執着気質が多い
◇<症状>
・ 夕方になると幾分回復する(日内変動)
・ 不眠を訴えることが多い
・ 不安、焦燥(イライラ)感を示しやすい
・ 心気的傾向を示しやすい
・ 妄想を示しやすい
・ 痴呆様状態を示しやすい
◇ 特有な性格をもとに心理的要因によって起こる精神および身体の機能障害をいう
◇ 男性より女性に多い
◇<原因>
・ 老年期では身体老化に加えて環境要因、心理的打撃が大きな比重を占める
◇ <症状>
・ 抑うつ神経症、不安神経症、心気神経症の形でみられる。しかし、重なり合う混合型が多い
5.人格障害
◇ 精神障害や脳器質疾患の存在なしに生じてくる性格の偏りをいう
◇ <原因>
・ 多くの場合、若年者から軽度な性格の偏りがあり、それが老年期に至ってさまざまな喪失体験や環境状況の変化の影響を受け、性格の偏りが際立ってきたと考えられる
◇<症状>
・ 自己中心的、頑固、猜疑的、非協調的、意地悪、易怒的などの性格特徴
・ 内閉的、孤立的な性格
1.はじめに
2.疾患に特徴的な障害とかかわるうえでの留意点
(1) 精神分裂症のある場合
◇ 精神分裂症と診断される高齢者の多くは、強い不安感と周囲への不信感や恐怖心等の克服の仕方として、さらには幻覚妄想体験によって構築されたと考えられる、その人に特有な内的世界をもっている
◇ 内的世界についてあれこれ聞くことは望ましくない
◇ 服薬の継続を支援するかかわりも重要
◇ どんなことに関心を持っているかを把握し、その人らしい生活が送れるような支援を通した援助関係づくりが重要
(2) 躁うつ病
◇ 本人がどんな気持ちでいるのか把握し、その表現を支援する必要がある
◇ 本人が繰り言や心気的念慮などを訴える場合は、毎回同じ内容でも親身になって聴く必要がある
◇ 自分の大変さを受け止めてくれる人の存在は、本人の気持ちの負担を軽くし、自殺などの危険防止にもなる
◇ 気分が沈み表情が暗くなり始めた病気の初期や回復期の自殺の防止に注意する
(3) アルコール依存症の場合
◇ 高齢になってからの飲酒問題の理由としては、自分の体力の低下や定年、さらに子どもの自立を契機にした孤独感や生きがいの喪失、配偶者や家族の死亡等の心理的ストレスが挙げられる
◇ ケアとしては、断酒会やA・Aの集会への継続参加
◇ 飲酒問題が若いころから長期間継続している場合は、糖尿病、肝臓や心臓疾患、脳血管疾患を併発していることが多いので、身体疾患に対する適切な治療を受けるよう勧めることも大切
(4) 神経症(ノイローゼ)の場合
◇ 不眠、頭痛や腹痛、身体の違和感等の不定愁訴として訴えたり、不安感の増強に伴い激しいチェックや奇異な行動が生じ、日常生活に支障をきたす場合もある
◇ 自尊の気持ちを保持できるよう本人の訴えに対応することに加えて、気持ち良く過ごせる環境づくりも大切
(5) 知的障害の場合
◇ 自分のできなさを恥じたり、人間としての尊厳を失うことのないよう配慮し、その人が理解できる言葉や伝え方を選び対応する必要
◇ だれもが自分の人格が尊重されていると感じ取れるかかわりを工夫することが求められる
◇ トラブルが起こったときは、何がどう悪いのか確かめ合えるようお互いの言い分を伝え仲直りできるよう支援する
◇ 人としての善悪を判断する力や、言葉によるコミュニケーション能力を高められるような対応が重要
(6) てんかんの場合
◇ てんかん発作の多くは薬物によりコントロールできる
◇ 興奮・過度の緊張・過労・睡眠不足・光の刺激・便秘、またはアルコールの飲用・水分の取りすぎや食べ過ぎなどにも注意する必要がある
◇ 活動中や外出しているときに発作が起きそうな場合は、転倒予防や本人が安心して動けるように配慮し、さりげなく横に付き添う必要がある
3.まとめ
◇ 生活への障害の影響の仕方は、一人ひとり異なり固定されるものではない。安心できる環境にあるかどうかに左右されやすい
◇ 些細な変化でも本人にとっては大きく影響していることも考えられる
◇ 本人の状態の変化を把握することに加えて、対人関係に変わりはないか、身近な周囲に何か変化が起きていないか等に関心を寄せることが求められる
◇ 医学的診断とは、病気の種類、病態、重症度、経過や結末の見通し(予後)を医師が判断することである
2.診断の実際
(1) 診断の流れ
◇病気の経過や病状の聴取(問診)→身体所見の観察(診察)→各種の検査
→診断
(2) 診察の進め方
@ 診察の位置づけ
◇詳細な問診と診察のみで約70%は診断がつくとされている
A 診察の流れ
| 緊急性の判断:バイタルサイン、意識レベル | ―――→ | 緊急措置 |
| ↓ | ||
| 視診、触診、打診、聴診神経学的診察泌尿器・生殖器の診察 | ||
| ↓ | ||
| 問題点のリストアップ |
(3) 臨床検査の進め方
@ 臨床検査の位置づけ
◇ 検査結果の正しい解釈は、病気の診断、病態の把握、経過観察および治療効果や予後の判定に役立つ
A 検査診断の流れ
◇検査−−スクーリング検査→検査実施→結果解釈→確定診断のための検査→検査実施→結果解釈
◇診断−−問題点のリストアップ→暫定的診断→確定診断
B 検査の選び方
◇臨床家の目でふるいにかけ、必要なものを行うのが基本
◇ 生体に本来備わっている自然治癒力を妨げずに、治癒の過程が少しでも円滑になるように援助することである
◇ 原因療法、対症療法がある
◇ 治療の手段には、生活指導、食事療法、運動療法、薬物療法、手術療法、リハビリテ−ションがあり、病態の患者に応じて、それぞれを有機的に組み合わせる
◇ 食事、嗜好品、運動、入浴、性行為、睡眠など日常生活の基本的行為についての指導が含まれる
◇ 治療食の指示においては、個々の病態に応じて、食形態、食回数、エネルギー量、塩分量、脂肪制限量、その他特別な指示を明記する
◇ 高齢者では、飲み込みの障害(嚥下障害)や消化機能の低下がある場合が少なくないので、摂取しやすく、消化のよい食事内容の工夫が大切である
(1) 薬物療法の基本
◇ 薬物療法の基本は、最適な薬剤を選び、最適な投与量を決め、必要最小限の服薬数で効果をあげ、副作用を防ぎ、さらに服薬中止のタイミングを常に考慮することにある
◇ 常用量とは、50%に人に対する有効量であり、人によっては多すぎたり、少なすぎたりすることがある
◇ 薬の処方箋には、薬品名、分量、用法(回数、服薬時間)、用量(投与日数)、注意事項などを明記する
(2) 高齢者への処方で注意すべき点
◇ 複数の病気をもつため、薬の数が多くなりがちで、相互作用による副作用が起こりやすい
◇ 肝臓での薬物代謝能の低下や、腎臓での薬物排泄能の低下など生理機能の老化により、副作用が出やすい。常用量の1/2〜1/3から始め、定期的に効果と副作用をチェックする
◇ 知能低下、コミュニケーション障害、嚥下障害、ADL障害など、服薬上問題となる障害のある場合が多い
◇ 起床・就寝時間、食事時間など生活習慣の個人差が大きく、服用時間の工夫を要する
◇ 処方をできるだけ単純化する。複数の服薬回数の組み合わせは、混乱のもとになるので、できる限り回数をそろえる
◇ 漫然と処方せず、定期的に薬の必要性を検討する
(3) 医薬品のADLへの影響
◇ 医薬品は、特に高齢者ではさまざまに副作用を起こし、ADLにも悪影響を与えるので、注意する
◇ もともと認知障害、筋力低下、平衡機能障害などがある高齢者では、薬の副作用により起きる転倒(薬物性転倒)が問題となる
◇ 睡眠剤、抗てんかん剤、抗精神病薬、抗パーキンソン剤、抗痙縮剤、降圧剤、利尿剤、糖尿病治療薬など要注意とされる
* 薬剤性転倒を起こしやすい薬
・せん妄状態――パーキンソン病治療薬、H2遮断薬(抗潰瘍薬)
・ パーキンソン症候群――抗精神病薬、整腸薬(ベンズアミド系)、
一部のカルシウム拮抗薬
◇ 手術の際には以下の注意が必要
@ ストレスに対する予備力が低い
A 疾患を合併していることが多く、手術に際し、リスク管理が重要となる
B 新しい環境や状況への適応能力が低く、手術というストレスを契機に錯乱状態になったり、ぼけが進行しやすい
C 大腿骨頚部骨折など、早期に緊急手術を行うことが望ましい
D 術後に寝かせすぎると急速に廃用症候群が進むので、早期離床を心がける
◇ 治療手段としては、理学療法(運動療法、物理療法)、作業療法、言語療法、義肢装具療法、心理療法などが障害状況に合わせて用いられ、チームで治療に当たる
◇ 障害を受けた部分の回復、残存機能の活用、代償動作の獲得によるADLの向上や環境整備などによる社会復帰
◇ 予後とは、疾病や障害の経過や結末の見通しを意味する。
◇ これに対し、疾病や障害の結果そのものは、転帰または帰結と呼ばれる
◇ 予後予測とは、現在の状態から将来の見通しを立てること
◇ 患者因子、疾患の種類や重症度、機能障害、ADLのレベル、治療内容などの情報をもとに、生存率、麻痺やADLの変化(機能的利得)、生活場所、必要な入院期間、治療や介護に要する費用などの帰結が予測される
◇ 疾患、機能障害、能力低下、社会的不利、心理的側面の五つに分けて整理する
(1) 疾患の理解はなぜ重要か
◇ 疾患は、片麻痺の障害を直接もたらした疾患(原疾患)と、それ以外に併せもっている疾患(併存疾患)に分けて考える
(2) 原疾患のとらえ方
◇ 原疾患は、その性格により分けられる
@ 一度起こると再発しない限り、病気自体は安定している非進行性の疾患(脳卒中など)
A 徐々に症状が進む進行性の疾患(神経難病など)
B 1日のうちで、また服薬との関係で症状が変化する変動性の疾患(慢性関節リウマチやパーキンソン病など)
(3) 併存疾患のとらえ方
◇ 併存疾患は、以下の四つに分けて整理する
@ 生命予後に危険を与えうるもの――急性心筋梗塞、急性腹症、急性感染症、脳卒中の再発作
A 疾患の危険因子となるもの――高血圧、心疾患、糖尿病
B 機能的制約や運動負荷の制約をもたらすもの(循環器疾患、糖尿病、腎疾患、肝疾患、骨関節疾患)
C その他の併存疾患
(1) 機能障害の意味
◇ 機能障害とは、心理的、生理的または解剖学的な構造や機能のなんらかの喪失もしくは異常とされる
(2) 一次的機能障害の意味
◇ 疾患の直接的な結果として起こった生体機能の障害であり、例えば、脳卒中における片麻痺、失語症などを指す
◇ 一見してわかりにくいが、日常生活に大きな影響を与えうる機能障害に、失認、失行、前頭葉障害などの高次脳機能障害がある
(3) 二次的機能障害の意味
◇ 廃用症候群のことで、過度の安静に伴って生体に引き起こされた心身両面の機能の低下を指す
◇ 拘縮、筋力低下、褥瘡、起立性低血圧、骨粗鬆症、体力低下、廃用性排尿障害、
ぼけ、心理的退行などが含まれる
(4) 機能障害への対応
◇ 一般に一度起こった麻痺の回復には限度があるが、廃用により生じた非麻痺側の筋力低下は適切な訓練によりある程度は改善しうる
(1) 能力低下の意味
◇ 能力低下とは、ある活動を人間にとって正常と考えられる方法または範囲で行う能力の何らかの制限もしくは欠如とされる
◇日常生活動作(ADL)の障害に相当する
(2) 能力低下への対応
◇ まずADLの自立度・介護度、実際の動作のやり方と問題点を評価する
◇ 能力低下のレベルでは、機能障害が不変でも代償動作の習得や自助具の工夫などにより動作が可能になることがある
5.社会的不利のとらえ方
(1) 社会的不利の意味
◇社会的不利とは、機能障害あるいは能力低下の結果として、その個人に生じた不利益であり、その個人が、年齢、性、社会、文化的諸因子からみて正常な役割を果たすことを制限ありは妨げるもの
(2) 社会的不利への対応
◇具体的には、家屋構造、家族の状況、経済状況、職業、差別・偏見などが問題
◇ 障害者自身が障害をどのように受け止め、意味づけているかという心理的側面も重要である
◇起こりうる合併症
| カテゴリー | 疾 患 | 特 徴 |
| 廃用性 | 廃用症候群 | 少しの臥床をきっかけで急速に起こる 拘縮、筋力低下、起立性低血圧、体力低下、褥瘡、骨粗鬆症、呆け症状など. 予防が大切 |
| 循環器系 | 心停止 | さまざまな原因で起こる. 脈が触れなくなり、蒼白、冷たくなる.その場で蘇生術が必要 |
| 狭心症 | 胸痛が突然出現.労作時に多いが安静時にも起こる 通常数分で軽快.ニトログリセリン有効.精査必要 |
|
| 心筋梗塞 | 激しい胸痛が突然出現. 持続時間長い.ニトロ無効入院加療が不可欠 |
|
| 心不全 | さまざまな原因、誘因で起こる.呼吸困難、頻脈、むくみ等 精査、入院加療必要 |
|
| 不整脈 | 心房細動、心室性不整脈、徐脈症候群などが多い. 心電図検査が必要.緊急措置を要する不整脈もあり |
|
| ショック | さまざまな原因で起こる. 血圧低下、頻脈、尿量減少、顔面蒼白.救急措置が必要 |
|
| 下肢動脈閉塞 | 下肢の痛み、冷感、チアノーゼが出現、脈が触れなくなる 放置すると壊死に至り、切断が必要なことあり入院加療が必要 |
|
| 呼吸器系 | 窒息 | その場での応急処置 |
| 肺炎 | 意識障害例、嚥下障害例、寝たきり例などで起こりやすい 高齢者では症状が非典型的.精査 |
|
| 肺結核 | 微熱、咳、全身倦怠、体重減少、喀血など 高齢者では急速に広がり易く、早期発見、早期治療 |
|
| 肺梗塞 | 肢の静脈血栓などから起こる 胸痛、呼吸困難、血圧低下など 入院加療が必要 |
|
| 喘息発作 | 喘鳴を伴う呼吸困難. | |
| 骨関節系 | 筋骨格系の痛み | 腰痛、頚部痛、下肢痛などが多い. 筋筋膜炎、変形性関節症、変形性脊椎症などが原因. 内臓疾患が隠れていることがある |
| 骨折 | 高齢者では軽微な外傷でも起こる 大腿骨頚部骨折では緊急手術が必要な場合が多い |
|
| 内分泌・代謝系 | 糖尿病性昏睡 | 暑い環境で運動をしたときなど脱水により起こりやすい 急性感染症も誘因となる |
| 低血糖発作 | 血糖降下剤、インスリン使用例で起こりやすい 冷汗、意識障害など まず、あめ、角砂糖などで処置 |
|
| 脱水 | 摂取水分量の減少、水分喪失量の増加により起こる | |
| 電解質異常 | 脱水、下痢などの体液バランスの乱れ、薬剤の副作用などにより起こりやすい | |
| 体重増加(肥満) | 動きの減少→体重増加→動きの減少、ADL低下という悪循環が起こりやすい 高脂血症、血糖上昇をもたらすこともあり |
|
| るいそう | 摂食障害例で起こしやすい、 悪性腫瘍、内分泌、代謝性疾患や慢性感染症などが隠れていることもあり |
|
| 消化器系 | 吐血 | 食道静脈瘤、胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道癌などが主な原因 |
| 下血 | 消化管の潰瘍、癌、炎症などがおもな原因精査、入院加療が必要 | |
| イレウス | 腹痛、嘔吐、便秘、ガスが出ないなどの症状 急性腹症の原因、腸管癒着、悪性腫瘍などによる精査、入院加療が必要 |
|
| 急性腹症 | 急に激しい腹痛が出現 胃腸疾患、腹部臓器疾患、婦人科的疾患など多くの原因精査、入院加療が必要 |
|
| 肝機能障害 | ウイルス性肝炎、薬剤性肝障害、肝硬変、肝癌などが多い 易疲労感、黄疸、腹水など.原因診断、治療が必要 |
|
| 精神・神経系 | うつ状態 | 食欲低下、不眠、元気がでない、自殺念慮など 高齢者では身体症状として訴えることも多い 正しい診断、抗うつ剤投与が必要 |
| せん妄状態 | 意識の混濁した状態. 薬物の副作用、脱水、発熱、老年痴呆などにより起こる |
|
| 痴呆 | 知能障害、人格障害が進行. アルツハイマー病、脳血管性痴呆が代表的 治療可能な痴呆(正常性水頭症、代謝性疾患など)もあり |
|
| てんかん発作 | 脳卒中例、頭部外傷などで見られる 急に意識を失い、四肢が強直または間代性に動く 通常数分で軽快 脳波検査要 |
|
| 脳卒中発作 | 脳出血、脳梗塞、くも膜下出血 意識障害、片麻痺、言語障害など病巣部位と程度に応じた症状が出る 入院加療が必要 |
|
| 意識障害 | 脳卒中などの脳疾患、てんかん発作、糖尿病性昏睡 、尿毒症、肝性昏睡、電解質異常、精神科的疾患などにより起こる |
|
| 慢性硬膜下血腫 | 軽い外傷により起こり、 数週から数か月の間に徐々に運動障害、ぼけ症状などが出現 |
|
| 視聴覚系 | 視力障害 | 白内障、緑内障、糖尿病性網膜症、網膜剥離などによる 失明の危険もあり、眼科医の診察が不可欠 |
| 聴力障害 | 中耳炎、耳垢、突発性難聴などによる 耳鼻科医の診察が不可欠 |
|
| 泌尿器系 | 神経因性膀胱 | 脳、脊髄、末梢神経の病気によって尿失禁、排尿困難などが起こる 泌尿器科的診断が必要 |
| 尿路感染症 | 膀胱炎、尿道炎、腎盂腎炎など 頻尿、発熱、排尿痛、尿混濁などが見られる |
|
| 尿路結石 | 腎結石、尿管結石、膀胱結石 激しい痛み、血尿などが見られる |
|
| 前立腺肥大 | 排尿困難、尿線細小、頻尿など 前立腺癌との鑑別が重要 |
|
| 腎不全 | 脱水、高血圧、糖尿病性腎性、腎炎、尿管閉塞など 高齢者では、脱水が腎不全の契機になりやすい |
|
| 血液系 | 貧血 | 動機、息切れ、易疲労性などの症状 鉄欠乏性貧血が多いが、薬剤性、白血病や悪性腫瘍が原因のこともあり、 原因精査が必要 |
| 腫瘍性疾患 | 悪性腫瘍 | 肺癌、腹部悪性腫瘍、前立腺癌、子宮癌など 検査の機会が少なく、発見が遅れやすいので要注意 |
| 皮膚 | 皮膚疾患 | 老人性掻痒症、白癬、疥癬、薬疹など |
| 歯科的疾患 | 歯科的問題 | 義歯不適合、口腔内衛生不良、う蝕、歯槽膿漏など 摂食障害、誤嚥性肺炎の誘因となる 歯科医の診察が必要 |
| その他 | その他 |
◇ 脳卒中の再発率は比較的高く、再発を繰り返すたびに障害は重度化し、生命予後も不良となる
◇ てんかんは、脳出血の30%、脳梗塞の10%前後にみられる
◇ 日常生活では、発熱、脱水、興奮、疲労などの、てんかんの誘因の除去に努める
◇ 在宅では、活動性の低下、食事過多などにより、体重が増える例が少なくない
◇ それを防ぐために、@定期的な体重測定による意識化、A食事摂取量の適正化、
B運動の励行、が重要となる
◇ 高齢者は、加齢、不動や、麻痺などに伴う骨粗鬆症により、軽微な外傷で骨折を起こしやすい
◇ 大腿骨頚部骨折、上腕骨外科頚骨折、脊椎圧迫骨折、肋骨骨折、前腕骨骨折などが多い
◇肺炎は、嚥下障害例、意識障害例、寝たきり例などで起こりやすい
◇ 高齢者は体内の水分量が体重の約50%ともともと少なく、少しのきっかけで水分が不足しやすい
◇義歯不適合、口腔衛生不良、う蝕などの歯科的問題も見逃されやすい
◇ 在宅例では、検査を受ける機会が少なく、がんの発見が手遅れとなることがしばしばある
◇ 特に生命予後、機能予後、日常生活や介護のうえでのリスク管理、起こりうる合併症については十分な情報を得ておく
◇実際の生活をを見て得られた情報は診療上も参考になることが多い
◇ 長寿社会での栄養は大きな課題であるが、2つの側面を持つ
・ QOLを低下させる最も大きなリスクとして病気があり、その予防や治療の手段としての栄養の側面
・ 食べるという人生の本能的な楽しみを保証し、食べることの感覚を介して、生きる喜びを支える
◇ 食生活とは、人間生活の食物とかかわる側面であり、
◇ その内容は基本的には、
・ 人間が食物を作り出す行動
・ 食物を食べる行動
・ これらの行動を行うための能力等を形成したり、伝承する行動
◇ 食物を食べることの生理レベルでも摂食から排泄まで各プロセスで生理機能の低下等による影響を受け、これらをも含めての食欲の個人差、多様さ
◇ 食事をつくることをめぐる、極めて人間的な行動の一つひとつをおとさないように介護に生かしていくことである
◇ "行動の特徴"、"介護を受ける者にとっての可能性"、"介護者にとって働きかけの可能性"
◇ 栄養・食生活の課題分析のポイント
・ 健康状態 ・食物摂取状態 ・食行動
・ 食行動の方向を決める要因とその形成 ・他の健康行動
・ 生活習慣・ライフスタイル ・地域の食環境
◇ 食行動の多様性をふまえ、介護を受ける者の食行動の可能性をできるだけ生かすようなチェックリスト
◇ 栄養素選択型栄養教育・・栄養所要量を基礎にし、エネルギーや栄養素の選択方法を取り上げる
◇ 食品材料選択型栄養教育・・食品群や食品構成表を基礎に食材の選択方法取り上げる
◇ 料理選択型栄養教育・・主食・主菜・副菜の組み合わせを基礎にし、料理の選択方法を取り上げる
◇ 健康づくりのための食生活指針(1985、厚生省)
1 多様な食品で栄養バランスを
・ 一日30食品を目標に
・ 主食・主菜・副菜をそろえて
2 日常の生活活動に見合ったエネルギーを
・ 食べ過ぎに気をつけて、肥満を予防
・ よくからだを動かし、食事内容にゆとりを
3 脂肪は質と量を考えて
・ 脂肪は取り過ぎないように
・ 動物性の脂肪より植物性の油を多めに
4 食塩は取り過ぎないように
・ 食塩は10g/日以下を目標に
・ 調理の工夫で、無理なく減塩
5 こころのふれあう楽しい食生活を
・ 食卓を家族ふれあいの場に
・ 家庭の味、手づくりの心を大切に
1. 低栄養に気をつけよう――体重低下は黄信号
2. 調理の工夫で多様な食生活を――何でも食べよう、だが食べ過ぎに気を付けて
3. 副食から食べよう――年をとったらおかずが大切
4. 食生活をリズムに乗せよう――食事はゆっくり欠かさずに
5. よく体を動かそう――空腹感は最高の味付け
6. 食生活の知恵を身につけよう――食生活の知恵は若さと健康づくりの羅針盤
7. おいしく、楽しく、食事をとろう――豊かな心が育む健やかな高齢期
◇ 「QOLの向上」「健康・疾病」――「栄養状態」――「栄養素」「食物の摂取状況」――「食生活・食行動」―→「食物へのアクセス」・「情報へのアクセス」―→「基礎整備(知識、人材、制度、施設)」「目標設定」「国際化への対応」「有機的な連携」
◇ 呼吸不全の症状は息切れ、咳と痰などである
◇ 呼吸不全では上気道炎が合併することが多く、感染症の予防と治療が有効である
◇ 呼吸運動は障害がなければ、無意識に調節されている
◇ 呼吸障害は加齢や喫煙、疾患により出現する
◇ 高齢者で救命処置を必要とする状態
@ 気道内異物(誤嚥、誤飲など)
A 緊張性気胸(自然気胸、腫瘍浸潤性あるいは医原性気胸)
B 可逆性または非可逆性の原因による気道閉塞状態(気管支喘息あるいは慢性閉塞性肺疾患における喘息重積発作、重症肺炎・腫瘍による気道閉塞)
◇ 物を誤って飲み込み気道を詰まらせた場合は、まず排泄しやすい体位にし背部をたたくなどの刺激を与えて排出を図る
◇ 痰や血液や誤嚥した食べ物などは、吸引器によって吸引する処置がとられる
(1) 慢性呼吸不全
◇ 高齢者では肺気腫、慢性気管支炎、び漫性汎細気管支炎などの慢性閉塞性肺疾患で、気道感染、肺炎、右心不全を契機に急激に呼吸不全を来す
(2) 慢性閉塞性肺疾患
◇ 閉塞性換気障害を示す呼吸器疾患の中で、急性、可逆性の気道閉塞を主徴とする気管支喘息を除外して、肺気腫と慢性気管支炎の両者を総称して慢性閉塞性肺疾患と呼ぶ
◇ 肺気腫は"終末細気管支より末梢の気腔の拡大に肺胞壁の破壊を伴う病理所見"により定義される
◇ 慢性気管支炎は気道分泌の慢性的過剰を呈するものの中で、慢性的な気道閉塞を有する場合に用いられ、咳を伴った痰が2年以上、毎年主として冬に少なくとも3か月以上ほとんど毎日続く
(3) 肺結核
◇ 高齢者では宿主側の免疫力が低下する機会も多く、初感染巣に残っていた結核菌が勢いを盛り返し発症する
◇ 高齢者では症状が不顕性の場合がある
(4) 気管支喘息
◇ 喘鳴(ヒューヒューという呼吸音)を伴う発作性の呼吸困難が繰り返し生じる場合もある
◇高齢者では糖尿病患者がインスリン製剤を使用している場合が多い
◇ 末期の悪性腫瘍の患者であって持続性の疼痛があり、鎮痛剤の経口投与では疼痛がコントロールできない場合に注射による鎮痛剤投与が必要なものと定義されている
◇ 鎮痛療法とは鎮痛剤を筋肉内に注射もしくは携帯型ディスポーザブル注入ポンプもしくは輸液ポンプを用いて静脈内に注入する療法をいう
◇ 今後の在宅ホスピスを進める上で重要な位置を占める方法である
◇在宅で人口透析を受けられる点でこの腹膜透析は画期的な方法である
◇ 在宅酸素療法は、チアノーゼ型先天性心疾患や高度慢性呼吸不全、肺高血圧症で、在宅で酸素投与が必要な患者に行う
◇ 食道がんや全身状態が悪化して、経口あるいは経腸摂取ができない患者や、その他疾患で経口・経腸栄養摂取ができない患者に、水分、電解質、糖質や蛋白質や脂質やビタミンを含む高カロリー液を輸液する方法
◇ カテーテルを用いた体外式とポート型の完全皮下埋め込み式がある
◇ 経鼻、経腸、胃瘻、または食道瘻からの経管栄養法がある
◇ チューブと瘻孔部の管理、栄養状態と水分のIN−OUTのバランスに注意する
・ 経管栄養食は人肌に温める
・ できれば患者の上半身を起こす
・ 胃内にチューブが入っていることを確認する
・経管栄養食をイルリガードルに入れ、注入する
・ 注入がうまくいかない時は、チューブに空気を入れるかしごいてみる(それでも注入されないときはチューブを交換する)
・ 注入終了後、微温湯をチューブの中の経管栄養食が胃に全部注入される程度の量を注入する
・ 終了後、できれば30から60分は、逆流を防ぐために上半身を起こした体位を保持する
・ 経管栄養食注入時の患者の状態変化
・ チューブを固定している絆創膏による皮膚のかぶれの有無
・ 誤嚥性肺炎や脱水による発熱
・ 便秘や下痢、消化器症状の有無
・ チューブによる鼻翼・鼻中隔潰瘍の有無
・ 高血糖、電解質異常の有無
◇ 長期にわたり持続的に人口呼吸器に依存せざるをえず、かつ、安定した病状にあるものについて在宅において実施する人口呼吸療法
◇疼痛除去のために植え込み型脳・脊髄刺激装置を埋め込んだ後に、在宅で自らが送信器を用いて疼痛管理を実施すること
◇ 自然排尿に障害がある場合、間歇自己導尿法、膀胱留置カテーテル法、導尿、または人口膀胱(尿路ストーマ)が行われる
◇ 尿路ストーマには、尿管を回腸に接続した回腸導管、尿管を皮膚に移植した尿管皮膚瘻、膀胱瘻、腎瘻があり、カテーテルを使用する方法と使用しない方法がある
◇ 高齢者感染症では、一般に、咳嗽、発熱、腹痛などの症状は強くない
◇ 脱水症状が主症状になることもある
◇ 感染を繰り返し抗生剤治療を受けている症例では、緑膿菌が出現しやすい
◇ 体力が衰え、栄養障害、ADL低下例ではメチシリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)による感染が問題になる
◇ 高齢者に多い呼吸器感染症は肺炎、気管支炎、膿胸、肺結核など
◇ 呼吸困難に対する処置、痰喀出の促進、咳嗽の苦痛対策が重要であり、さらに窒息の危険があり注意する
◇ 高齢者では、一般に個体の感染防御機能が低下するが、口腔咽頭粘膜における病原菌の繁殖頻度の増加が認められる
◇ 高齢者には誤嚥性肺炎がある
◇ 主な症状として頻尿、排尿時痛、発熱、尿閉などがある
◇ 重症の場合は腎不全、敗血症、ショックを来す
◇ 原因菌に合った適切な抗生物質を使用する必要がある
◇ 黒色の痂皮に覆われた褥瘡が敗血症の原因になっていることがある
◇ 壊死組織感染の温床となることがあり、取り除くことが必要
◇ 創面の色は、黒→黄→赤→白と変化して治癒に至る
◇ 黒色期は皮膚が壊死に至り黒い痂皮を切除することが目標
◇ 黄色期には一般に滲出液が最も多くなる
◇ 感染の危険性が高まる
◇ 黄色の壊死組織・不良肉芽を除去する
◇ 赤色期には肉芽組織の増生を促進させることが目標である
◇ 白色期は治療の最終段階である
◇ 創の収縮と上皮化の促進が目標である
◇ 症状としては、激しい腹痛、腹膜刺激症状、発熱などが主症状
◇ 重症の場合は、胆石、胆嚢穿孔、腹膜炎などを考慮する
◇ 抗コリン薬の投与を行うが、腹膜刺激症状があれば手術適応を考慮する
◇ 緊急措置を要する場合は意識障害、髄膜刺激症状、敗血症を合併した場合である
◇ 必要な緊急検査として髄液検査があり、髄液中の細胞数、蛋白、糖について分析するほか、一般細菌・結核菌・真菌培養を行う
◇ 髄液検査時、同時に血糖検査を行う
◇ 敗血症は非常に重篤な疾患であり、ショック、呼吸困難、乏尿、高熱、悪寒などが主な症状
◇ 確定診断としいぇは血液培養を行う必要がある
◇ 尿路由来が約30%、ついで胆道感染が多い
◇ ペニシリン耐性黄色ブドウ球菌があったが、メチシリンをはじめとする耐性ブドウ球菌に効果のあるペニシリンが開発された
◇ この耐性ブドウ球菌用ペニシリンや第三世代のセフェム系抗生物質が使われるようになって、今度はメチシリンに耐性となったブドウ球菌が出現するようになった
◇ MRSAは近年、常在菌ととらえ、過度の不安は不要とされている
◇ ブドウ球菌の感染者に対しては、感染防止のため処置前後の手洗い、消毒などを確実に行うことが大切である
◇ 特にMRSAは薬剤耐性で、感染すると治癒しにくいので慎重に感染予防対策を行う
(1) 感染者あるいは保菌者が発見された場合の処置
◇ 感染者は個室に入れ、他の患者から隔離する
◇ 鼻腔、咽頭、会陰、異常な皮膚等、関係部位からぬぐい液を採取し、スクーリング検査を行う
◇ 保菌者はこの限りではない
(2) 患者感染の防止
◇ 不特定多数の職員の出入りを避けるようにし、回診および処置は最後に行う
◇ 部屋の前にはクリーンマットを置き、病室前の廊下にポビドンヨード手洗いなどを置く
◇ 血圧計、聴診器、採血器具、酒精綿、絆創膏は、病室内に置き、専用にする
◇ 器具はディスポーザブルを使用するが、不可能な物は使用後、次亜塩素酸ナトリウムまたは塩化ベンザルコニウムにて消毒する
(3) 患者の移動
◇病院内移動は最小限にし、必要がある時は菌の拡散を防ぐように注意する
(4) 生活指導
◇患者や介護人への生活指導
◇ 隔離された状況では、精神的にも不安定にになりやすいので、配慮のある看護・介護が必要
◇ 感染の予防には、病気や原因となる細菌感染などに抵抗力を持つことが大事である。すなわち免疫力を高め、栄養をつけ、清潔に保つことが必要
◇ 感染源を早期に見つけて、隔離したり、除去・撲滅を図ることが大切である
◇ 手洗いとうがい、口腔ケアの励行が感染予防の第一歩である
◇ 消毒薬として、現在アルデヒド、塩素、アルコール、ヨウ素、フェノール、界面活性剤の各系統の薬物が主に用いられている
◇ そのスペクトラムは芽胞まで拡大されており、現在使用されている消毒薬中最も優れた特性を有している
◇ アルデヒド基は蛋白質と反応し、蛋白合成阻害、蛋白変性を来たし、殺菌作用を示す
◇ 一般細菌、結核菌、真菌からHBV、HIVを含むウイルス、さらには芽胞までをカバーする
◇ 耐性菌はないが、最も優れた殺菌作用を持つ
◇ 人体に対してはその刺激のため、使用できない
◇ 次亜塩素酸を遊離し、この酸化作用により殺菌する
◇ pH5以下では塩素ガスが発生するため、酸性の薬物との併用は禁忌
◇ 特にウイルス感染の消毒には好んで用いられる
◇ 耐性菌はない
◇ 作用機序は蛋白凝固であり、菌体蛋白の変性などを介し殺菌する
◇ スペクトラムは一般細菌、結核菌、真菌、ウイルスに対して作用するが、芽胞に対しては殺菌作用は及ばない
◇ 耐性菌はない
◇ 陽イオン界面活性剤中、第4アンモニウム塩に属し、陽電荷原子団の菌体への吸着による細胞膜変化、酵素阻害等の作用により、殺菌活性を示す
◇ 一般細菌、真菌をカバーするが、HBウイルス、結核菌、芽胞には無効である
◇ 陰イオン系洗剤(石けん)との併用は禁忌である
◇ 一般細菌については殺滅できるが、結核菌、ウイルス、あるいは芽胞に対しては無効
◇ 酸素供給器には、酸素用高圧ボンベ、酸素濃縮器、液化酸素装置がある
◇ 酸素濃縮器 ――空気中の酸素を器械に取り込んで、酸素を濃縮して供給する。
膜型(酸素濃度は約40%)と吸着型(約90%)があり、
高濃度の時は特に火気厳禁である
◇ 停電に備えて他の供給器も常備しておく
◇ 空気中の酸素を用いるので、長時間使用の際には換気に配慮する
◇ 患者の普段の日常生活における酸素飽和度、呼吸状態、脈拍、血圧を把握しておき、酸素中毒、無気肺、低酸素症、二酸化炭素中毒、および上気道感染等の合併症の発生に注意し、異常の早期発見と緊急時の連絡方法を確保しておくことが重要である
◇ ネブライザーを用いて薬液を噴霧し、気道粘膜の加湿と繊毛運動を促進して気道内の分泌物の十分な排泄を図ってから、喀痰喀出を行うと効果が大きい
◇ カフ付き気管内チューブを用いることにより空気漏れ(リーク)が予防でき、また気管内吸引が容易になる
◇ 緊急時には技術的に容易な経口的気管内挿管が行われるが、その後の呼吸管理が長期になる場合には、経鼻的気管内挿管のほうが便利である
◇ カニューレがあっているか、抜けてきていないか、閉塞していないかなどを確認する
◇ カニューレ交換は週1回程度行い、痰の付着状態を見て適宜医師に行ってもらう
◇ 適切なカフ圧を保ち、最低1日1回はカフエアーを交換する
◇ カフ上部にたまっていた唾液や分泌物などを誤飲しないように吸引を慎重に行う
◇ 吸引は無菌操作で行う
◇ 最低1日1回は気管切開部を消毒し、滅菌ガーゼを交換する
◇ 口腔内を清潔に保つようにする
◇ 今後は在宅で人工呼吸器をつけたままケアを受けることが増加するであろう
◇ 人工呼吸器は、生命維持装置であり、少しの事故であっても命に関わることを意識して、その管理は十分に注意して行われねばならない
◇ 生命に直結する呼吸の管理を機械や他人にゆだねている不安、恐怖など精神的に強度のストレス状態に置かれている
◇ 正確な技術・機械の管理とともに患者への心理的援助が重要である
◇ 人工透析が徐々に進歩し、手軽に在宅でも透析を受けることができるようになった
◇中心静脈栄養のポートを皮下に植え込んで在宅療養する高齢者が増加する
◇ 最近よく進歩し高齢者に積極的に行われることが多い術式
◇ 器具ではないが、胃と腹部表面を通過し栄養を注入する管が通してある
◇ 完全房室ブロックや洞不全症候群などで行われるが、高齢者ほどこれらのの不整脈の頻度が高くなる
◇ 高齢者の急性疾患の多くは多臓器障害を合併し、またその背景には組織の老化が認められる
◇ 症状や所見に多元性・多様性が認められ、非典型的症状を呈することが多い
◇ 多くの重症疾患に伴い神経・精神症状が合併したり、また途中から加わることが多い
◇ 水・電解質代謝異常を伴いやすく、病態が修飾されることが多い
◇ 高齢者救急患者の留意点
@ 病歴、自覚症状の信頼性の検討――痴呆、失語症、構語障害の有無
A バイタルチェック(バイタルサインの正確な観察・測定、解釈・分析で記述)
B 急性症状出現前の生活状況の把握
C 既往歴の把握
D 現在加療中の疾患と服用薬剤
E 急性症状出現より来院までの症状の経緯の把握
1.心(肺)停止
◇ 心停止は、心電図上、心室停止あるいは心室細動を示す
◇ 心停止が30〜60秒続けば瞳孔は散大し、3分以上停止すれば脳は不可逆的な障害をうける
* 心肺蘇生のABC
・ Airway(A):気道確保
・ Breathing(B):人工呼吸
・ Circulation(C):体外心マッサージ
2.意識障害
◇ 意識障害の程度と内容を的確に把握しておくことは、疾患の重症度、緊急性の判定、臨床経過と予後の評価に際して重要である
◇ 全身状態とバイタルサイン(脈拍、体温、血圧、呼吸)は、意識レベルと並んで患者の重症度や緊急性の指標となる
◇ 「意識レベル」の見方(3−3−9度方式)(Japan
comascale)
| 3 | "痛み"でも目をさまない |
| 300: | まったく動かない |
| 200: | 少し手足を動かしたり、顔をしかめる |
| 100: | はらいのける |
| 2 | "痛み"で目をさますが、やめると眠りこむ |
| 30: | 呼びかけてやっと目をあける |
| 20: | 「手を握れ、離せ」に応ずる |
| 10: | 少し言葉も出るが、間違いが多い |
| 1 | 目をさましている |
| 3: | 自分の名前、生年月日がわからない |
| 2: | 今日の日付や今いる場所がわからない |
| 1: | いまひとつはっきりしない |
1.せん妄
◇ せん妄は意識障害の一種で、軽い意識混濁を背景に、注意力、集中力、認知機能、記憶力、判断力などが障害された状態である
* せん妄の対応
・ 原因や誘引が明らかな場合はそれを取り除く。
・ 薬物には最大限の注意を払い、必要不可欠なもの以外は中止する
・ せん妄発症時には説得や抑制はまったく無効であり、かえって興奮を助長する結果となる
2.胸痛
◇ 胸痛の原因となる疾患は多岐にわたる。なかでも虚血性心疾患と緊急を要する疾患の診断は重要である
◇ 狭心症は高齢者の特徴としては一般に痛みの程度は弱く、必ずしも重症度を反映しない。急性心筋梗塞との鑑別は必要である
3.発熱
◇ 発熱は、いつ、どのような症状とともにでたのかが重要である
◇ 原因は、感染症、体温調節異常、膠原病、その他に大別できる
4.脱水
◇ 体液量が欠乏している状態を脱水という
◇ 症状としては、皮膚の乾燥、頻脈、血圧低下、倦怠感、傾眠傾向、昏眠などに留意する
5.嘔吐
◇急性胃潰瘍、胃炎等の消化器疾患の異常で発症する
6.吐血
◇胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、食道静脈瘤等で起きる
7.下血
◇痔核、大腸憩室炎、大腸がんなどで出血する
8.誤嚥
◇ 仮性球麻痺などがあり、嚥下障害のため食事などを誤嚥する重症な場合は窒息により死亡することがある
◇ 緊急的には口内の異物の除去が最優先であり、緊急的に受診が必要
9.麻痺
◇脳卒中は片麻痺、失語、失行、構語障害などの症状を呈して発症する
10.転倒・骨折
◇高齢女性は骨粗鬆症になりやすく、少しの力で骨折を起こす
11.血尿
◇尿路感染症、尿路結石、膀胱腫瘍などで血尿が起きる
◇ 「生活習慣病」とは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する症候群」と定義づけられている
◇ 生活習慣病のうち、がん、脳卒中、心筋梗塞の三つのみでわが国の死亡総数の60%を占めている
◇ 一次予防:疾病予防と健康増進を指す。
すなわち、疾患の原因となる物質・促進因子を除去すること、
および禁煙・食生活改善等、生活習慣を改善することである
◇ 二次予防:疾病の早期発見、早期治療を指す
すなわち、定期的に検診を受け、また自分の体調に気を配り、
何か体の異常を感じたら早期に検査を行い、
早期に治療を実施することである
◇ 平成7年におけるがんによる死亡数は26万3022人であり、死亡総数の28.5%を占め、死亡原因の第1位である
◇ 循環器疾患(血管系の疾患)には、脳卒中、心臓病、腎不全等である
◇ 平成7年における脳卒中による死亡者数は14万6522人(総死亡数の15.9%)
◇ 心臓病による死亡者数は13万9206人(総死亡数の15.1%)
◇ 痴呆性老人の約60%は脳血管性の痴呆である
◇ 寝たきりの原因の第1位(3割から5割)は脳卒中
◇ 血管疾患の主な危険因子は、高血圧・高コレストロール血症・喫煙・糖尿病・肥満である
◇ 糖尿病による合併症には、視力障害(視力障害の17.8%)、腎臓病(新規透析導入患者の30.7%)、神経障害、心筋梗塞、脳卒中等があり、死亡や重篤な障害の原因
◇骨粗鬆症の患者は骨折しやすく、高齢者の寝たきりの原因として重要である
◇ 昭和63年の第二次国民健康づくり対策(アクティブ80ヘルスプラン)は、第一次予防、特に健康増進に力を入れた計画である
◇ 健康づくりの三要素である「栄養」「運動」「休養」のバランスのとれた健康的な生活習慣の確立をめざしている
(1) 健康と栄養
◇ 現在の死因の上位を占めるがん、心臓病、脳卒中などの生活習慣病は、すべて食生活に関係を持つ疾患ばかりであり、健康づくりのためには、正しい栄養の知識に基づいた健康的な食生活を実行することが重要である
(2) 健康と運動
◇ 適度の運動は心肺機能を保持増進させるとともに、高血圧、動脈硬化症などの治療に効果があるとされている
(3) 健康と休養
◇健康づくりとしての休養には、疲労を解消し活力を取り戻す「休」の要素と、明日に向かって英気を養う「養」の要素がある
(4) 健康とたばこ
◇たばこはがんや虚血性心疾患だけでなく、慢性気管支炎や肺気腫など、さまざまな疾患のリスクファクターとなる