◇ 高齢者の医学的管理サービスは長期療養型在宅医療に位置付けられるが、そのほかに医療技術依存度の高い高度医療型在宅医療、末期がん患者に対する末期医療型在宅医療なども必要になってくる
◇医学的管理サービスを必要とする利用者の特性
・ 病状が不安定悪化再発、合併症などを起こしやすい患者から生命維持に必要な器具をつけている人
・ あるいはがんの患者
・ 入院入所の判断を必要とする患者、などさまざまである
○脳卒中後遺症の場合
◇ 後遺症として起こりがちなものに
・ 失語症、嚥下障害、失禁、痴呆、手足の運動障害、知覚障害、などがあり
・ これらによって、食事、洗面、排泄、着替え、移動、入浴、コミュニケーションなどが妨げられていることが多い
◇ 病気の原因としては
・ 高血圧、心疾患、糖尿病、痛風、高脂血症、肥満
・ 生活習慣としての、喫煙、アルコール
◇ 合併症としては
・ 歩行困難な場合は転倒、寝たきりの場合には廃用症候群としての褥瘡、肺炎、誤嚥、関節の拘縮、筋力低下、食欲不振、便秘、などがある
◇ 痴呆が進行している場合
・徘徊、異食、暴力、弄便、夜間せん妄、など
○慢性心不全の場合
◇ 薬物療法
・ ジギタリス剤、利尿剤、抗不整脈剤、冠拡張剤、などを使用するのでその薬剤管理も必要
◇ 食事療法
・水分の制限や塩分制限が行われている
○がんの場合
・ がんの種類や進行の程度、今後の予後、合併症などについての管理が行われなければならない
・ 痛みの程度に従って適切な治療法が選択される
・ 不安や抑うつなどの精神症状なども認識する
・ がんによる二次的な症状として食欲不振や吐き気などがある
◇脳卒中、骨折、リウマチ、関節疾患などではリハビリテーションを行うことによって機能を維持したり、また残存した機能を十分に活用することが必要である
◇ 気管カニューレや気道の喀痰の吸引、栄養管理などで生命維持に必要な器具をつけている場合には、医学的管理が必要である
◇ 在宅酸素療法患者は慢性呼吸不全として結核、肺気腫、喘息、肺線維症などがある◇
肺炎等にもかかりやすい
◇急性上気道炎や尿路感染症、便秘、下痢、熱傷など一時的な病気にかかりやすい場合には、できるだけ定期的に医師の管理が必要
◇ 風邪などをこじらせて肺炎を起こした場合などで在宅でそのまま治療をするか、入院が必要かなどの判断をしなければならない
◇ 担当する医師の心構えや能力が問題となる
◇ 家族や患者が、在宅療養に協力してもらえる医師を選択できるような介護支援サービスの中で、適切な医師とめぐり会える体制を整えることが必要
1.療養上の変化について介護者に尋ねる
◇ 医師は患者の自宅に訪問し、本人ないしは介護者から身体や行動・精神の状態について尋ねる
(1) 食事
(2) 睡眠
(3) 排泄
(4) 行動の異常
(5) 日中の活動性の低下
(6) 表情の変化
2.診察所見をとる
(1) 脈拍
◇ 臥床している高齢者でも60〜80回/分である
◇ 100以上/分を頻脈、60以下/分を徐脈
◇ 脈拍数がいつもより多い場合には、体の水分が減少している脱水、あるいは胃や腸からの出血などを考える
◇ 脈拍数が減少している場合は、心臓が弱っていることが多い
(2) 血圧
◇ 血圧が普段より上昇するときは、体を動かした直後、興奮している場合。脳血管障害が再発したときも血圧が上昇する
◇ 血圧が下降したときは、全身の体力が低下したとき、心臓そのものが弱ってきたとき。眠っている場合も血圧は低下する
(3) 体温
◇ 体温は、脳の視床下部にある体温中枢によって調整されている
◇ 老人においては、しばしば周囲の温度の変化で、体温は容易に変化する
(4) 麻痺の状況
◇ 特に脳卒中や関節疾患があるときは手足の状況をよく聴取し、また麻痺の状況の変化や新たな麻痺や骨折、拘縮の増強はないかを観察する
(5) 心音
◇ ――
(6) 呼吸音
◇――
(7) 腹部
◇ ――
(8) 皮膚
◇ 皮膚が乾いている場合:脱水症が疑われ水分補給が必要
◇ 皮膚が湿っているとき:何らかの内臓の病気が隠れていて発汗を呈していたりすることがある
(9) 口腔
――
3.器具を使用している患者の管理
(1) 胃チューブ
◇ チューブが胃にきちんと入っているかどうかを確認する
◇ 注射器によって空気を入れ、聴診器を心窩部(みぞおち)にあて、その音を聞くことによって確認される
◇ 胃瘻造設術を行うこともある
(2) 膀胱留置カテーテル
◇ 膀胱障害や仙骨部に褥瘡がある場合は、排尿のケアが困難な患者については膀胱留置カテーテルが挿入されている
◇ カテーテルから十分に尿が排泄されているか、詰まったりしていないか、尿が汚れていないか、カテーテルの接続部や挿入部が不潔になっていないかをチェック
(3) 気管カニューレ、吸引器
◇ 在宅に移ったケースの場合、家族が定期的な吸引や消毒、ガーゼ交換などをするため適切な指導を繰り返し行う必要がある
◇ 気管カニューレ交換時には家族がどのように実施しているか観察する必要がある
(4) 中心静脈栄養
◇ 高カロリー輸液が必要な患者には中心静脈栄養が実施されている
◇ 鎖骨下静脈などの血管から針を挿入した上大静脈に留置しているため、挿入部や接続部の清潔、発熱の有無や電解質の管理などがなされなければならない
(5) ネブライザー
◇ ジェット式や超音波式ネブライザー器具がある
◇ 痰がとりにくくなったりゼーゼーがひどいときは連絡をするように家族に話しておく
(6) 在宅酸素療法
◇ 呼吸不全の状況を観察する
◇ 痰の量の変化や呼吸音によって判断するが、パネルオキシメーターなどを用いて動脈血の酸素の飽和度を見る必要がある
◇ 医学的管理サービスを実施する医師は、月1回「訪問看護指示書」を作成している
◇ 介護支援に必要な情報は、迅速に介護支援専門員に連絡することがルール化される必要がある
◇ 成人期からの歯科疾患の予防、低下した咀嚼機能のリハビリテ−ション等、総合的な歯科保健対策を確立することが必要である
◇ 8020運動は、80歳になっても20本の機能する歯を保とうという運動
◇ 現在は8005の状況
◇ 利益としては、歯科疾患を予防することにより健康状態が長期に維持することができる
◇ 歯の健康が維持できることから、国の医療費にも影響する
◇ 嚥下障害をもつ患者の場合には、言語聴覚士との密接な連携が必要
◇ 老人保健事業として、歯の健康教育、歯の健康相談、歯科衛生士による訪問指導、総合健康診査における歯周疾患検診が行われている
◇ 高齢者の口腔内の衛生管理がQOLに深くかかわっていることを知るべきである
○ 脳卒中の場合
◇ 口腔ケアにおいても、麻痺を伴っているため感覚がなく、患者の反応がとらえにくい傾向がある
◇ 患者は食物の咀嚼に際しても感覚が無いため食塊の形成もうまくいかず、嚥下運動も障害されている
◇ 口腔内は頬、舌、粘膜に知覚がないため、食物が麻痺側にたまってしまい、根面う蝕、歯周病の進行も速い
○ パーキンソン病の場合
◇ 老人に現れる神経変性疾患であり、発症年齢は60歳代をピークに70歳代前半に多く見られる
◇ 振戦、筋肉のこわばり、運動過少が三大症状
◇ パーキンソン病の治療にL−ドーパがよく使われ、副作用からの遅発性オーラルディスキネジア(OD)が発現することが多い
◇ (OD)は、口をもぐもぐさせたり、顔をしかめたり、舌を動かしたりする、反復性、常同性の不随意運動である
◇ 義歯の製作をしても使用されないケースが多い
◇ 唾液の作用には口腔諸組織の保護、味覚誘起、咀嚼・嚥下・発音の補助、体液平衡の維持、排泄作用、細菌の凝集作用がある
◇ 唾液を伴わない義歯は、その役目を果たすことが不可能となる
◇ 脳血管障害の後遺症として食べられなくなったり、飲み込むことができなくなることも多く見られる
◇ 嚥下性肺炎、誤嚥性肺炎が、高齢者には多くみられるため、高齢者の口腔内は常に清潔に保っておかなければならない
1.高齢者の歯の特徴
◇ 健康な歯は、歯冠部と歯根部が完全な形で整っている
◇ 高齢者の場合には、根が露出し、骨の中に支えられている部分が少ないのが普通
◇ 根が露出するとエナメル質がないので、う蝕になりやすい。これは高齢者によくある形のう蝕である
◇ 長年の生活によりさまざまな部分が磨り減った形
◇ 歯と歯茎の境目に楔状の「へこみ」ができる
◇ 歯が欠損したならば入れ歯を入れて顎全体で噛めるようにしなければならない
2.食事の姿勢
◇ 誤嚥を防止するためには、食事をするときは椅子に座ることを勧める。やむをえない時はベッドの上に座り、上半身を起こした姿勢で食べる
3.口腔内のチェックポイント
◇ むし歯は清掃のよく行き届かないところにできる。咬合面や歯と歯の間、歯と歯肉の境目が多い
◇ 歯周病(歯槽膿漏)は、歯を取り巻いている歯肉や骨の病気であり、出血しやすかったり血液の混じった膿がでてくる。多くの場合、歯のぐらつきを伴っている
◇ 入れ歯を外したところと一致して粘膜が真っ赤になっていたり、白い斑点ができている場合は、義歯性口内炎が疑われる
◇ 薬の副作用で舌が黒くなったり白い苔状の物が付着する場合がある
1.入れ歯の種類
◇ 一般に歯の喪失数が少ない場合には、残った歯に冠を被せ、それを橋桁にしてブリッジを装着する
◇ 局部床義歯(部分入れ歯):失われた歯が多くなると残った少ない歯を利用して、そこに入れ歯を支えるバネをかける。
◇ 総入れ歯:歯をすべて失ってしまうと、歯の失われた歯槽堤にぴったり合った入れ歯を入れる
◇ 第3の歯といわれる人工歯根(インプラント)を挿入して、その上に入れ歯を入れる方法もある
2.入れ歯の手入れ方法
◇ ブリッジの場合には取り外しができないので、歯の抜けた後には代わりになる歯が入っており、この下に食べかすが入ることがある
◇ 局部床義歯の場合は入れ歯を固定するバネがついているので、バネを外せば入れ歯を口から取り外すことができる
◇ 外した入れ歯は歯ブラシ等で(歯磨き粉を付け)丁寧に磨く
◇ 夜中は清掃液に入れ保存しておくのがよい
◇ バネがついている入れ歯は誤って飲み込んでしまい、思いがけない事故につながる
◇ 総入れ歯の場合は、取り外した入れ歯は歯ブラシ等(入れ歯専用の義歯用歯ブラシもある)に歯磨き粉を付けて磨けばよい
◇ 夜は取り外してプラスチック容器に入れ、洗浄液に浸して保存することを推奨する
○薬剤管理指導の目的
◇ 最小の薬剤使用で最大の効果を得ることで、副作用の防止、早期発見や、不必要な薬の使用をやめる
◇ 薬の副作用や相互作用で引き起こされた症状に対して、介護を受けることのないように介護における無駄を省く
○ 医薬品の適正使用
@ 的確な、診断に基づき患者の状態にかなった最適の薬剤、剤形と適切な用法・用量が決定され、これに基づき調剤される
A 患者に薬剤についての説明が十分理解され、正確に使用される
B 効果や副作用が評価され、処方にフィードバックされる
◇ 要介護者等側の積極的なかかわりなくしては有り得ない
◇ 要介護者等に薬の有効性、必要性を説明し、コンプライアス(指示された用法に従い薬を服用すること)を得ることが大切
◇ 副作用の初期症状や相互作用について説明することで、これらの未然防止や早期発見につながるはずである
○ 薬剤相互作用による副作用
◇ 高齢者は、約2割が他の診療科あるいは、他の病院の薬剤を併用しており、
◇ 3割が処方薬以外に一般用医薬品を併用していることから、さまざまな問題につながる可能性がある
◇ 高齢者は複数の疾病を有することが多いことから、他剤併用によって引き起こされる相互作用が問題となる
◇ 単剤で常用量の範囲の薬剤使用であっても、生理・生体機能の低下から、薬効や副作用が増大し、思わぬ結果を引き起こす可能性がある
◇ 市販の総合感冒薬の常用量の使用であったとしても、抗ヒスタミン剤が配合されていることから、男性の尿の出が悪い、目がチカチカする等の副作用が、高齢者に引き起こされる
○高齢者に多い症状とそれを引き起こすといわれる薬剤
・ 錯乱状態 ―― 精神安定剤、非ステロイド性消炎鎮痛剤、レポドバ、
糖尿病治療薬(血糖降下剤)、副腎皮質ステロイド
・ うつ病 ―― メチルドバ、β遮断剤
・ 転倒 ―― 催眠薬、精神安定剤、ニトログリセリン
・ 起立性低血圧 ―― 降圧剤、利尿薬、抗狭心症薬、β遮断薬
・ 便秘 ―― コデイン
・ パーキンソン病 ―― 抗精神病薬、メチルドバ、レセルピン
◇ 口から飲んだ薬は、食道を通って胃に入る(少量の水を与え、薬を服用したとしたら、食道にとどまり問題となる
◇ 胃や腸で栄養素と同じ様に吸収され血管に入り、肝臓に運ばれる
◇ 肝臓に入った薬は、肝臓にある酵素の働きで、作用のない、体の外にだしやすい形に変えられる
◇ この働きは薬物代謝と呼ばれるが、代謝を免れた薬が生体に対して作用することになる
◇ 高齢者では肝臓への血流量の減少など肝機能の低下から薬の作用の増強を引き起こすことがある
◇ 薬として作用するのは、蛋白質と結合していないものだけである
◇ 高齢者は血中の蛋白質が低下していると、蛋白質と結合できない薬が増え、作用が強く出すぎることがある
◇ 同じ蛋白質の同じ部位に結合する薬を一緒に使用すると、結合できなくなった薬の作用が強く出すぎて問題となることがある
◇ 作用の同じ薬剤の併用は作用の増強に、また相反する作用を有する薬剤のの併用は作用の減弱を引き起こす
◇ 最後に薬は腎臓から尿として排泄されたり、便、汗、涙、唾液などからも排泄される
◇ 高齢者では、腎機能が衰えており、薬の排泄が遅くなり、薬の作用増強が考えられる
◇ 薬は口中にも排泄され、その薬の味、苦味などから食欲低下を引き起こす可能性もある
◇ 高齢者の薬は、成人用量の1/2〜2/3で開始するとよいといわれている
◇ 発熱や下剤などからくる脱水症状は急性疾患、他の疾病のために服用している薬の作用に影響を与える可能性は十分に考えられる
◇ どんなときに薬の服用を一時中止すべきか等、細かい情報提供も必要である
◇ 紙オムツ使用時などは、尿量減少などに気づきにくい
◇ 薬によっては便や尿の色に変化を起こすものがある
◇ 薬の服用がきちんとなされず、誤った服用方法がとられたり、薬に対する説明が十分理解されないまま、薬の服用が要介護者等に拒否されることもある
◇ 医療を受ける場所が医療設備の整っていない居宅であることを十分考慮し、薬によって発現するかもしれない副作用についても、発現したときの対応についてもあらかじめ検討しておく
◇ 薬剤管理表に、要介護者等が服用中の薬(医療薬および大衆薬)、さらに健康食品などもすべて一覧とする
◇ 現在の要介護者等の症状や副作用について詳細に報告
◇ パーキンソン病における薬剤起因性パーキンソン症候群の占める割合は、3〜5割とする報告もあり、パーキンソン病であるのか、薬剤起因性パーキンソン症候群なのか見分けることは重要である
◇ 症状を引き起こす薬剤としては抗精神病薬が有名であるが、カルシウム拮抗薬や花粉症等に使用される抗アレルギー剤、吐き気止め等の消化器官用剤なども問題となる
◇ まず服用を中止し、1〜2か月様子をみてからパーキンソン症候群の治療を開始されるべきである
◇ 処方医の各薬剤の処方意図、要介護者等あるいは介護者の判断で使用されている薬剤の使用目的を確認する
◇ 添付文書には、この薬を使用してはいけない患者(禁忌)、注意して使用する患者(慎重投与)、あるいは相互作用、副作用などさまざまなデータが記載されている
◇ 適正な使用であるかの第一の確認は、まずこの添付文書で行われるべきである
◇ 要介護者等への情報提供
・ 薬の名前(商品名、一般名)
・ 注意すべき副作用の症状
・ 相互作用(薬品と食品も含む)
・ 飲み忘れたときの対応
・ 服用を中止したほうがよい場合
・ つぶしたり、カプセルを外したりしてよいか
◇日記などあり一定のフォーマットに従って記載してもらうことも一つの方法である
◇ 薬の効果や副作用についての経過観察は、適正使用において最も重要である
◇ 同じ内容に関して何度も異なった職種の人から確認されるというような要介護者と等の負担は極力避けるべきで、チーム医療の重要性と情報の共有化が望まれる
◇ 薬の効果については、医師だけでなく、薬剤師が関係しなくてよいということではない
◇ 薬の効果が期待されたほどでない場合、薬剤師としては相互作用はどうか、蛋白質の多い食直後に服用していないだろうか、といった検証を行うことが必要である
◇ 要介護者等の貴重な情報を的確に拾い上げ、次の医療の中にフィードバックし、薬の情報をより充実したものにしていく努力も忘れてはならない
◇ 1983(昭和58)年に老人保健法が施行され、病院からの訪問看護に対しても退院患者継続看護・指導料として診療報酬が支払われるようになった
◇ 1991(平成3)年に老人保健法は改正され、老人訪問看護制度が創設された
◇ 1992(平成4)年4月、訪問看護ステーションから、医師の指示に基づいて訪問看護を提供できるようになった
◇ 1994(平成6)年には、健康保険法等が改正され、老人だけでなく、すべての年齢層の在宅療養者に拡大された
◇ 介護保険法で定める「訪問看護」とは
・ 「居宅要介護者等(主治医の医師がその治療の必要の程度について厚生省令で定める基準に適合していると認めたものに限る)について
・ その者の居宅において看護婦その他省令で定める者により行われる
・ 療養上の世話又は必要な診療の補助をいう
◇訪問看護婦
・ 国家免許を有する保健婦(士)・助産婦・看護婦(士)、都道府県知事免許を有する准看護婦(士)で、居宅に出向いて業として看護を行なう者である
・ 都道府県看護協会において、看護職員に研修を行い訪問看護婦を養成している
◇ 訪問看護の対象者を健康レベルに従って分類する
@ 予防的ケアを必要とする対象者
A 健康回復を目指すケアを必要とする対象者
B リハビリテ−ションや健康的な生活の保持を目指すケアを必要とする対象者
C ターミナルケアを必要とする対象者
(1) 療養上の世話
◇ 看護ケアの基本は、入浴介助や清拭をはじめ、食事の援助、排泄の援助などである
◇ 生活上の援助にも医療の視点をもちながら、専門的技術を要する
(2) 医師の指示のもとに行う診療の補助
◇ 訪問看護における診療の補助の具体的な内容は
・褥瘡の処置 ・創傷処置 ・膀胱洗浄 ・導尿
・経管栄養の管理 ・点滴の管理 ・在宅酸素療法の管理
・中心静脈栄養法の管理 ・呼吸器管理に伴う処置
・CAPD管理
・人工肛門管理 ・浣腸 ・摘便
・疼痛管理 ・医療機器導入時の看護 ・検査補助
などである
◇ 本人や家族に医療処置の方法を指導することが必要な場合もある
(3) リハビリテ−ション
◇ 訪問看護婦が訪問時リハビリテ−ションを行うことがリハビリテ−ションの継続につながる
◇ 生活の援助そのものを、残存能力の活用という視点からリハビリテ−ションに結びつけて行う
(4) 家族支援
(5) 精神的援助
(6) 社会生活拡大の援助
(7) 他のサービスとの連携・調節
◇訪問看護の基本的な4つの視点
@ 予防的なかかわりをする
A 療養上の世話を基本に必要な医療処置を行う
B 在宅療養者とともに家族もケアの対象とする
C 対象者の生活の仕方、生き方、価値観を尊重したケアを行う
* 訪問看護の視点
@ 寝たきりを予防する
A 寝たきりを起こす
・療養環境の整備
・リハビリテ−ション
・ 障害受容のための支援
◇障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準
| 生活自立 | ランクJ | 何らかの障害を有するが、 日常生活はほぼ自立しており独力で外出する |
1 交通機関等を利用して外出する |
| 2 隣近所へなら外出する | |||
| 準寝たきり | ランクA | 屋内で生活は概ね自立しているが、 介助なしには外出しない |
1 介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する |
| 2 外出の頻度が少なく、日中も寝たきりの生活をしている | |||
| 寝 た き り | ランクB | 屋内での生活は何らかの介助を要し、 日中もベッドの上での生活が主体であるが座位を保つ |
1 車椅子に移乗し、食事、排泄はベッドから離れて行う |
| 2 介助により車椅子に移乗する | |||
| ランクC | 1日中ベッド上で過ごし、 排泄、食事、着替において介助を要する |
1 自力で寝返りをうつ | |
| 2 自力で寝返りもうたない |
期 間 ランクA、B、Cに該当するものについては、いつからその状態に至ったか 年 月頃より(継続期間 年 か月間)
◇痴呆性老人への対応
@ 老人が置かれている家族関係や物理的環境などを理解する
A 老人が今まで過ごしてきた人生を理解する
B 身体状況を理解する
C 痴呆性老人の言動にはそれなりの背景があることを理解する
*訪問看護の視点
@ 医療的対応
・ 精神症状の観察を行ない、薬物投与の必要性について医師に相談する
・ どのような薬物を、どれくらい投与するかは、訪問看護婦の的確な観察と判断が役に立つ
・ 投薬の指示が出ている場合は、きちんと服用されているか、服用された薬剤の効果は動か、副作用はないかなどの観察を正確に行う
A 痴呆状態への対応
・ 大切なことは、痴呆性老人を問いただしたり、否定したりしないこと
・ 受容の態度で対応、背景や原因を考えて、それを満たすようなケアをする
B 家族への支援
・ 負担の大きさを理解できる訪問看護婦が、家族の相談に乗ることで、家族は励まされ安心する
・ さまざまなサービスを導入して、介護負担を軽減する
・ 介護負担の大きい家族の健康管理も、訪問看護婦の果たすべき役割
・ 呆け老人をかかえる家族の会など、集まりを紹介することも家族支援につながる
◇痴呆性老人の日常生活自立度判定基準
| ランクT | 何らかの痴呆を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立 |
| ランクU | 日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが 多少見られても、誰かが注意していれば自立できる |
| ランクV | 日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが ときどき見られ、介護を必要とする (食事、排泄等が上手にできない、徘徊、失禁等) |
| ランクW | 日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが 頻繁に見られ、常に介護を必要とする |
| ランクM | 著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、 専門医療を必要とする |
◇ 難病とは、「原因が不明で、治療方法が未確立であり、かつ後遺症を残すおそれの少なくない疾病」
◇ 「特定疾患」として、難病対策の対象となっている疾病
・ ベーチェット病、重症筋無力症、悪性関節リウマチ、小児がん、小児慢性腎炎、進行性筋ジストロフィー、など
*訪問看護の視点
@ 適切な医療とケアの保障
A 看護ケアの提供と指導
B QOLの尊重
◇ ターミナルの定義は明確なものはないが、おおよそ予後6か月以内とされている
◇ 本人の希望を尊重し、一般に延命のための濃厚な医療より、自然な形で苦しみのない安らかな最後が迎えられるようなケアが大切
*訪問看護の視点
@ 症状の緩和
A コミュニケーション
B 家族への支援
C 死の準備教育
D 悲嘆のケア
◇ 看護サービスの介護支援サービスは基本的手順に添って実施する
◇ 基本的手順は
利用者の紹介→課題分析→介護サービス計画策定→実施→評価
(1) 利用者の紹介
◇ 訪問看護が必要な場合は、早急に看護サービスを導入しなければならないことが多い
◇ 訪問看護サービスの必要性を判断し、医師から訪問看護の指示書を得て訪問看護サービスの導入を決定する
(2) 課題分析の方法
◇ 在宅療養者と家族に関する情報を、面接・観察・身体診察等から得る
◇ 課題分析ツールを使って在宅療養者や家族の問題やニーズを明らかにする
(3) 介護サービス計画の策定
(4) 実施
(5) 評価
◇ 介護サービスは、食事、排泄、入浴という介護援助から家事援助まで日常生活そのものを支える行為である
◇ 訪問介護サービスの内容
@ 身体の介護に関すること
・ 食事、排泄、衣類着脱、入浴、身体の清拭、洗髪、通院等の介助
A 家事に関すること
・調理、衣類の洗濯、補修、住居の掃除、買物、連絡、家事
B 相談・助言に関すること
・生活、身上、介護、住居改良
(1) 個々の生活習慣や文化、価値観の実現
◇ 生活スタイルが周囲からみた場合に不合理と思われる方法でも、本人にとっては今までの習慣から形成されたきわめて合理的なものである
◇ 自らの価値観や分化背景、生活習慣の中で選択されてきた方法は、他人が勝手に修正することは許されない
◇ 相手の望む生活を実現していくことが訪問介護の目的である
(2) 生活の自立性の拡大を図る(自立支援)
◇ 高齢者は弱く見えるが、潜在能力を引き出すのが介護の役割である
◇ できなかったことを責めるのでなく、出来たことを称賛する
◇ 家族に対しても、生活の自立を支援する重要性を話し、理解を求めておく必要がある
◇ 働きかけの基本は、「してもらう」ではなく「する」という態度
(3) 生きることの喜び・意味を見出す
◇ 人間は生物的存在であるばかりでなく、社会的存在である
(4) 予防的な対処を優先する
◇ 二次的な障害が起きないように、常に予防的な対処を視野に入れた介護が必要である
◇ 種々の二次的障害が引き起こされてから元に戻すことは大変難しい
◇ 最も効果的な介護は予防介護である
(5) 状態の変化を発見し、他職種へつなぐ
◇ ホームヘルパーは、状態変化の第一発見者としてきわめて重要な立場にいることになる。
◇ まずは異常をすばやく見つけて、他職種へ相談することがホームヘルパーにとって大切な役割といえる
◇ 介護しながらも利用者の状態を常に綿密に観察する態度が必要
◇ 直接、医療行為をする職種ではないが、最低限の医学的知識は職務を遂行していくうえで不可欠なものといえる
◇ どの職種と連携をとって相談すればよいのかを判断する立場にもある
◇ 訪問介護はチームとして、他職種と協働してこそ目的を達成することになる
◇訪問介護は対象者の生活そのものを支援する仕事であるため、利用者の身体状態や障害にとって必要とされる援助内容はもとより、利用者の行動様式、家族との関係などによりサービスの内容に影響を受けやすくなる特性がある
◇ 寝たきりになった人の状態
@ 起きられないタイプ
A 起こさない・手をかけないタイプ
B 起きようとしないタイプ
◇自立を促す介護のポイント
@ 利用者が動きやすい物理的環境をつくること
A 利用者が動こうとする心理的環境をつくること
◇ 褥瘡、便秘、下痢、発熱、失禁、廃用性ぼけ、発作などの状態が発生しないように心がける
◇ 介護の仕方が不適切なために状態を悪化させることがないように安全に配慮する
◇ 介護は利用者の生活の自立を促進し、快適に過ごせるように援助する仕事が、その過程で事故が起こる可能性に注意しなければならない
◇利用者の病状が悪化し医学的対応が必要とされる状態がある、そのようなときには医師をはじめとして訪問看護婦などと連携をとって、利用者の安楽と快適性を守っていく必要がある
◇ 痴呆高齢者は、日常生活の遂行に困難を来すため介護の援助が必要となる
◇ 日常生活の困難も、IDAL(手段的日常生活動作)の範疇に及び、自分で動くことができるがゆえに、生活の乱れとして現れる
◇ 一方的にホームヘルパーが乱雑な部屋などを整えようとすると高齢者の反発や抵抗を引き出すことになる
◇ まずは相手の信頼感を得ることが大切である
◇ できるだけ家庭の中で自分でできることをしてもらい役割意識を満たしていくことも大切である
◇ 終末期には嚥下困難、呼吸困難、失禁、褥瘡、痴呆、疼痛などの身体的苦痛が出現するので、その苦痛から開放するための介護が大切である
◇ 在宅ホスピスケアのためには医療との密接な連携が不可欠である
◇ 訪問看護の果たすべき役割
@ 利用者や置かれている状況についての多くの情報を、介護サービスにとどまらず他職種へ伝えて介護支援サービスに活用する必要がある
A 本人の代弁者としてケアチームの中で積極的な発言が必要とされる
◇ 情報収集の視点
@ 本人の望みや願い
A 本人の関心事や心配事
B 生活の仕方・実態(家事、日常生活行動)
C 住居(整理、整頓、補修、住まい方)
D 家族の意向、介護の仕方、介護力など
E 暮らし向き
◇ 分析に当たっての視点
@ 相手が何を望んでいるかを知り、それに沿い、それをかなえるように努めることである
A 現状を改善したり、維持(悪化防止)することである
B 将来、起こりうる危険性を予測して、危険を回避ないし予防することである
◇ 問題を分析するに当たって
@ 表面に現れている現象を問題としてとらえるのではなく、状況の背後に潜む原因を明らかにする
A 問題現象の相互関連を明らかにしていくことである
B 潜在化している問題を発見し、問題の見落としを防ぐこと
C 広い視点から現象・情報をとらえて、問題の見落としがないようにしなければならない
D いくつかの問題の中で優先しなければならないものを絞り込む
◇ 入浴は、日常的な生活行為の一つで、わが国では、衛生的なためばかりでなく、疲れを癒し開放感のためといわれている
◇現在では、寝たきり者等に対して入浴の希望がかなえられるようになってきている
◇ 訪問入浴利用者は、介助者による家庭入浴、送迎による施設入浴の場合に比較して、入浴がより困難な人が利用する入浴といえる
◇ より安全な入浴介護に努めなければならない
◇ 「民間事業者による在宅介護サービス及び在宅入浴サービスのガイドラインについて」を遵守しなければならない
-- 略 --
◇ 訪問入浴利用者は、独立して立位または座位をとることが困難で、何らかの介護を必要とする人々である
◇ 生理的機能・免疫機能が低下し、精神心理面での変化がみられ、予備力の減少、適応力の減退、反応の遅延化、復元力の低下、防衛反応低下等がみられる
◇ 人間関係も限定される
◇ 入浴は、身体的、精神的に利用者に負担がかかる
◇ 入浴の可否の判断を医師に求める
◇ 利用者は、寝たきり状態の人であるため、入浴にによる身体的な負担により、何らかの障害が発生する可能性を否定できない.
このため、入浴の可否を主治医が判断する必要がある
◇ 主治医が不在の場合には、嘱託医等に判断を依頼する
◇ 指導内容を記載した文書による指示書を受け取ることが望まれる
◇ 訪問入浴に関わる看護婦は、入浴前に健康状態等を観察し、医師が診察したときの健康状態と異なることを発見した場合、
改めて医師の指示を受けるか、入浴を中止しなければならない
◇ 適正な感染防止のための措置を行うことにより、感染症に罹患していても入浴が可能である.この際には、主治医より具体的な感染防止の措置について指導を受ける必要がある
◇ 利用者の意向を尊重することに加えて、家族その他の周囲の人への気配りをした入浴介護であることが期待される
1.入浴の三大作用
(1) 温熱作用
◇ 一般に熱くも冷たくも感じない温度を不感温度といい、34℃〜37℃で、訪問入浴では、微温浴か温浴でも低い温度が望ましい
◇ 不感温度より高い温浴の場合には交感神経を刺激し、心拍数が増え、血圧は上昇する
◇ 微温浴では副交感神経を刺激し、精神の緊張をほぐし、心拍数および血圧の変化も少ない
◇ 訪問入浴では、微温浴(37〜39℃)より高くなると、血圧の上昇がみられる
(2) 静水圧作用
◇ 水面下に沈んだ体の部分の体表は、水の重さ分の圧力(静水圧)を受ける
◇ 全身浴では、静水圧により腹囲が縮小し、横隔膜が持ち上がり、胸囲が縮小し、この両者により心臓等に負担がかかる
◇ 訪問入浴では、仰臥位での入浴のため、静水圧があまりかからない
(3) 浮力・粘性作用
◇ 運動機能の低下した人にとっては、浮力・粘性を利用したリハビリテ−ションとして水中運動が行われている
2.入浴が各臓器に与える効果・影響
(1) 心臓・血管への影響
◇ 温度が高く胸までつかると、温熱作用、静水圧作用により、心臓に戻る血液量・心拍数が増加し、入浴時間が長くなるなればそれだけ心臓への負担が大きくなる
◇ 高温浴では、初期に血圧が上昇し、体が温められると血管が拡張して血圧は低下の傾向を示し、静水圧のため血圧が高められ、結果としてそれほど血圧は低下しない
◇ 出浴時には静水圧がなくなるため血圧は低下し、一過性の低血圧が起こり脳へ行く血液が減少して、立ちくらみや失神が起こりやすく、急に体が冷えると血圧が上昇する
◇ 入浴の条件により血圧は高くなったり、低くなったりする
◇ 訪問入浴では、仰臥位で湯温39℃以下、10分以内の入浴が多く、静水圧があまりかからず、血圧変動が少なく、心臓等への負担も小さい
◇ 入浴後にはたっぷりの水分補給が必要
(2) 血液粘度への影響
◇ 入浴で血流量が増すと腎臓の尿生成を促し、尿量が増え血液が濃縮される
◇ さらに、入浴後の発汗、利尿の促進などで体から水分が失われ、血液が濃くなり血液粘度が増す
◇ 動脈硬化が進展して血管腔が狭くなっている高齢者にとっては、脳血流量の低下を招き、心臓の血液循環を低下させ、血栓形成の引き金になりかねない
◇ 入浴後には、たっぷりの水分の補給が必要である
○感染に関する基礎知識
◇ 入浴介護者は、感染に関する基礎知識を有し、訪問入浴の利用者および従事者の双方の感染を防止することに努めなければならない
(1) 感染と感染症
◇ 体内に侵入して疾患をもたらす微生物を病原微生物という
◇ 感染とは、病原微生物が人体に進入し、定着、増殖し、寄生状態になることをいう
◇ 感染した微生物を病原体、感染した人を感染者という
◇ 病原体または病原体の産出物により症状が現れてくることを発症という
◇ 感染しても、症状が現れない場合を不顕性感染という
◇ 感染者は、病原体を体内に保持しているので保菌者というが、不顕性感染者のみを保菌者といい、症状がある感染者は保菌者といわないで患者という
◇ 感染症の中で特に伝播するものを伝染病という
(2) 感染予防の基礎
◇ 予防には三大原則がある
@ 感染源を隔絶あるいは除去すること.すなわち、生活している環境から病原体ををなくすこと
A 感染経路を遮断すること.すなわち、病原体が体内に侵入する経路を遮断すること
B 感受性者は抵抗力を高めること.すなわち、特異な抵抗力を高めるためのワクチン接種と一般的な意味での抵抗力を高めること
(3) 訪問入浴介護における感染予防の実際
◇ 訪問入浴が許可された感染者に対し、訪問入浴の際にその感染が広がらないための注意が必要
◇ 他人を感染させないよう予防について主治医から指導を受けておく必要がある
◇ MRSA,緑膿菌等に感染している場合は、入浴順序を変更してその日の最後の入浴とし、入浴後に浴槽等を所定の方法で消毒をすることにより入浴が可能である
◇ 訪問入浴従事者は、自分が感染源になったり、結果として利用者の病原体を次の利用者に運搬して、利用者に新たな感染を起こすことのないよう所定の注意を払わなければならない
○訪問入浴利用者に対して
@ 主治医より訪問入浴の許可の判断を受けたときに、当該利用者に関して感染防止のための注意すべき事項等について指導を受けておくこと
A 部分的な皮膚の異常、褥瘡その他による開放創傷等がある場合、原則として開放している傷等を被覆して入浴介護を行ない、入浴終了後、看護婦により傷等の手当を行う
B 高度医療の受療中の利用者においては、主治医による個別の指導を受けておく必要がある
C 利用者の血液その他の体内から排泄された物を直接触れないように処理する.従事者自身も汚染物を処理した後、必ず十分に手洗いを行う
○訪問入浴従事者に対して
@ 従事者の心身の健康に留意する
A 従事者の清潔の保持および健康状態について常時チェックする
B 感染のおそれがある利用者の入浴介護に際し、利用者1人ごとに新しいまたは消毒したガウン、手袋等を着用する
C インフルエンザ等、他人を感染させるおそれのある疾患に罹患している場合には、就業させてはならない
D 手指等に傷がある場合に、ブドウ球菌その他の病原体が付着しているおそれがあることから、傷のある部位を完全に覆ってから就業すること
E 利用者一人ごとに医師及び看護婦の指導のもとで、必要により消毒薬を用いること
F 使用した器具機材を十分に洗浄し、消毒すること
(4) 日和見感染
◇ 免疫力が弱まるような基礎疾患をもっている患者、普通の人なら感染しないような病原性が極めて弱い微生物によって感染症を起こすこと
(5) 滅菌と消毒
◇ 殺菌とは、すべての微生物を死滅させることで、滅菌とは、すべての微生物を殺滅または除去することであって、完全な殺菌ではない
◇ 消毒とは、病原微生物あるいは食品の腐敗を起こす微生物のみを殺すこと
◇ 洗浄とは、微生物を含む汚れを洗い流すこと
◇ 訪問入浴利用者に被害が及ぶ事故には、入浴行為そのものに関連した事故、移動に関連した事故、室内環境等による事故、その他の事故がある
◇ 事故発生時の対処は、入浴に関する報告事項に事故の内容、事故への対応を定められた方式で記載しておく
1.訪問入浴のニーズ把握
◇ 訪問入浴は、特別な病態の人を除き入浴を希望する人すべてサービス提供できる
◇ 他の居宅介護サービスにより入浴できない場合は、訪問入浴を利用することができる
2.訪問入浴の必要性とその判断
◇ 訪問入浴の適否を判断するのは主治医の役割である.主治医不在の場合には、嘱託医等に判断を依頼する
◇ 訪問入浴利用者の利用可能な範囲内にサービス提供機関が存在し、その機関の提供するサービスの適正さを判断する必要がある
◇ 安全な訪問入浴サービスを提供するには、地域の医療機関その他が、必要により連携した対応ができるか否かの評価が必要である
◇ 訪問入浴計画に基づいて実施された事業の実施状況を監視し、必要により計画の見直しを行う
◇ 本人の入浴希望の確認、家族の入浴に対する評価、主治医および関連機関による評価を参考にしなければならない
◇ 地域での保健医療福祉のネットワークの状態について現状を認識する
◇ 何らかの課題を見出した場合は、関連機関に説明し、解決されるよう努力する必要である
◇ リハビリテ−ションの理念として、「社会的自立」「普通の市民としての生活―ノーマライゼーション」を最終的な目標とすることによって人間的復権を得ることとまとめられる
◇ リハビリテ−ションの理念の達成を目指すものを「地域リハビリテ−ション」という
◇ 地域リハビリテ−ションとは、「社会参加」「自立」「QOL」を直接的な課題とし、その結果としてノーマライゼーションや人間的復権を目指す活動の総体だといえる
◇ 医療・福祉・保健の密接な連携を必要とするとともに地域社会と社会全体の理解と協力を必要とする
◇ 地域リハビリテ−ションは、自立性の維持と要介護になったときの重度化の予防を図ることを具体的な活動とする(自立支援).この活動に社会参加を促進することで本人および家族のQOLの向上に寄与していく
◇一般に障害が生じたり高齢者になると社会的活動から遠ざかる傾向をもち、このことが心身の活動性を失わせて自立性を低下させ、その結果としてQOLの低下を招きがちである
◇ 全般的な活動量の低い生活では、身体的機能をも低下させていくことになり、低い活動状態がもたらす機能・能力の低下を「廃用症候群」と呼んでいる
◇ 廃用症候群は、行動意欲を含む精神機能、身体的活動に重要な作用をもつ心肺機能、筋力や骨関節機能、歩行などに影響をもつ神経機能、感覚機能などに及ぶ
◇ 閉じこもりには、次の三つの要因が作用することによって生じる
@ 身体的要因――脳卒中等の障害や高齢による体力低下など
A 心理的要因――障害や高齢に伴う活動意欲や社会参加意欲の低下
B 環境要因――家屋構造や住環境、気候風土による行動の制限(物理的環境)と、地域に活動の場を持たない、仲間がいないなどの人的環境とに分かれる
◇ 閉じこもりが廃用症候群の発生・進行をもたらし、そのことがまた閉じこもりを助長するという悪循環をもたらし、この全体を「閉じこもり症候群」という
◇ 地域リハビリテ−ションの利用者
@「器質的な」機能障害があって、すでに医療機関で機能回復のための医学的
リハビリテ−ションを受けた者
B 医療機関でのリハビリテ−ションが機能回復に至るまで十分に受けられなかった
者.この場合には「機能回復のためのリハビリテ−ション」を提供し、その後に
機能維持のためのリハビリテ−ションに移行していく
B 高齢者では、軽い病気で自宅療養中に寝たきりになる例が多い.この場合も機能回復のためのリハビリテ−ションから開始する
◇ 具体的方法と技術
(1) 社会参加促進――健常者の多い地域社会への参加が必ずしも円滑にゆかず、「友の会」と呼ばれる同病者の集まりをつくって、次ぎに地域への社会参加を図るなどの工夫を要する
(2) 専門的な自立性・活動性の獲得
(3) 家庭でのADL自立支援
@ 利用者本人のADL動作指導
A 介護者等家族に対するADL介助・介護方法の指導
B 家屋改造や日常生活用具・介護支援機器・自助具などの環境整備・機器の利用に関する指導・助言
◇ 具体的方法と技術を、健康・疾病・要介護の程度に応じて個々に独立して提供するのではなく、利用者の程度によって単に重点が異なるという考え方をもつ必要性がある
◇ ニーズの中心は「ADLの自立」とその結果としての「介護負担」の軽減、「社会参加」にある
◇ サービス提供に先立って、リハビリテ−ション前置の考え方を導入することが大切である
◇ リハビリテ−ション前置とは、医療機関および地域リハビリテ−ションを十分に利用することによって、利用者の自立を図り、あるいは要介護状態となっても介護が最小限となるようにすることをいう
◇介護サービスのプロセスは、「要介護認定」→「介護支援専門員(ケアマネジャー)による課題分析」→「介護サービス計画の作成」→「サービスの提供」
1.要介護認定における地域リハビリテ−ション施設の役割
◇ 地域リハビリテ−ションは、要介護認定に当たって「情報提供機関」としての役割が期待され、要介護認定の作業そのものへの参加も十分考えられる
2.介護支援専門員(ケアマネジャー)の課題分析と介護サービス計画作成における役割
◇ 介護支援専門員による課題分析は、単に現状を評価して介護サービス計画を作成するだけでなく、自立可能性や自立の維持という視点を持つ必要があり、このことによって介護サービス計画そのものの内容が変化する
3.ケア提供における役割
◇ リハビリテ−ション関係職種による「直接サービス」「間接サービス」がある
◇ 地域リハビリテ−ションは、「通所施設」を利用するもの、「訪問サービス」とに分けられる
◇ 在宅介護の限界
・以下のいずれかが生じているか、それが複合的に起こることによって訪れる
@ 住む家が無いこと
A 火の始末ができなくなること
B 家事(特に3食の確保)ができなくなること
C 必要な介護が得られないこと
D 同居する家族の心理・肉体的負担が過重になっていること
◇ 通所介護の目的
@ 通所により、サービスを提供することによってこれらの高齢者の健全で安定した在宅生活の助長、社会的孤立感の解消、心身機能の維持・向上等を図るとともに、その家族の身体的・精神的負担の軽減を図ろうとするものである
A デイサービスが社会生活の助長に大きな目標があるのに対し、デイケアは機能訓練を中心に身体面の維持・改善に主たる目標が置かれている
◇現在の老人デイサービス運営事業
@ 基本事業として、生活指導、日常動作訓練、養護、家族介護者教室、健康チェック、送迎、の6種のサービス
A 通所事業として、入浴、給食の2種のサービス
B 訪問介護として、入浴、給食、洗濯、の3種のサービス
C A型〜E型のセンターの種類に応じて、実施するサービスが規定されている
D A型は特別養護老人ホーム対象程度の者が、概ね10名以上の重介護型
E B型は特別養護老人ホーム対象程度の者が、概ね5名以上の標準型
F C型は虚弱老人中心の軽介護型
G D型は小規模基本型の定員が概ね8名以上の小型デイサービスで1992(平成4)年加えられた
H E型は痴呆性老人を対象として毎日通所できる型として1992(平成4)年加えられた
I サテライト型は1997(平成9)年に制度化された
◇ 入所施設を利用する高齢者と比較しての、通所介護を受ける高齢者の特徴は、
・ 日常生活を維持するうえでの支障がまだ重度になっていない場合か、
・ 生活障害が重度の場合は、介護態勢が整った生活環境にある場合である
◇ 健康・疾病・要介護の程度に対応する介護を行うということは、個別性のある援助を行うということである
◇ 個別性のある援助を行うためには、まず利用者の健康や疾病や生活の状況に関する必要な情報を過不足なく集めることが必要である
◇ そして集められた情報を介護支援専門員が分析し、判断して解決すべき生活維持上の問題点(ニーズ)を明らかにすることとなる
◇ ニーズを解決する方向を定め、具体的援助方法を考えるのが介護サービス計画の作成である
◇ 通所介護における介護サービス計画とは、介護支援専門員が作成し、援助者チームによって修正・確認された居宅サービス計画(介護サービスの利用計画)に組み込まれた諸サービスの一つとしての通所介護におけるサービス実施計画である
(1) 高齢者自身について
@ 身体的側面
・ バイタルサインなどの一般状況、疾病の有無(痴呆を含む)、病名、疾病の程度、治療の状況、服薬の状況と医師の意見、既往歴
・ 体力
・ 日常生活動作(ADL)および生活関連動作(IADL)
・ 介助を必要とする生活場面
・ 禁忌事項
・ 介護の状況
A 心理的・社会的側面
・ 利用者の生年月日、職業歴、結婚歴
・ 家族状況、家族関係
・ 趣味
・ 日常生活の過ごし方
・ 性格特徴
・ 友人関係
・ 住宅の構造
・ 経済状態
・ 保健・福祉サービスの利用状況等
(2) 介護者について
@ 身体的側面
・ 疾病の有無、疾病名、疾病の程度、治療の状況、服薬の状況
・ 体力
A 心理的・社会的側面
・ 介護に当てられる時間(就労の有無、家庭内の乳幼児や病人の有無)
・ 高齢者の心身状態についての理解の程度
・ 介護に関する知識・技術の有無
・ 介護意欲の程度
・ 家族関係(特に高齢者と介護者の関係)
・ 介護協力者の有無
・ 介護者の性格特徴
・ 経済状況
・ 保健・福祉サービス利用についての意識等
@ 送迎方法
A 活動・訓練の内容と参加グループ
B 介護の場面と方法
C その他かかわり方への配慮
D 心理的援助の内容と方法
(1) 外出と社会的な交流
◇ 通所介護を利用するに当たっては、特に家に引きこもりがちになる高齢者を外出させ、集団活動によって社会的孤立感を解消することに効果があることを念頭に置く必要がある
(2) 家族介護の負担軽減
◇家族が介護を行っている場合には、家族の介護負担の軽減を図ることができる
(3) 機能訓練・日常生活訓練
◇ 通所介護の大きな柱の一つとして、機能訓練(日常生活訓練)がある
◇ 本人の機能訓練に対する意欲も十分に考慮し、利用者の状態に応じて、適当な機能訓練・日常生活訓練のメニューを選択する必要がある
(4) 在宅サービスの総合的利用の中での通所介護
◇ サービス利用後に家に帰ってからの生活および通所介護を利用しない日の在宅生活を支えるためのサービスであることを忘れてはならない
◇ 訪問介護等の居宅でのサービス利用による在宅生活の継続性を念頭に置きながら、どの程度のサービス利用を設定するか、ということをその身体的・精神的状態や生活状況に応じて提案することが介護支援サービスにおいては重要である
◇ 短期入所介護は、介護保険法における居宅サービスの一つで、「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」のサービスからなっている
◇ 短期入所生活介護とは、居宅要介護者が老人福祉法による特別養護老人ホームや老人短期入所施設などに短期間入所し「入浴・排泄・食事等の介護、その他の日常生活上の世話、及び機能訓練」のサービスを受けること
◇ 短期入所療養介護とは、居宅要介護老人保健施設(老人保健施設)や介護療養型医療施設(療養型病床群など)などに短期入所して「看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練、その他必要な医療並びに日常生活上の世話」のサービスを受けることを指している
◇ 要介護者が施設で多くの高齢者などとふれあうことによって新たな人間関係や仲間をつくり、社会的な接触を広げ、要介護者の気持ちをリフレッシュさせ、生活を改善するという意味を持っている
◇ 介護者の急な疾病や冠婚葬祭などの緊急事態や生活の危機に際して、施設が緊急・臨時的に入所できる場所としてあることによって、そうした突発的な生活問題を解決し、家族の生活を安定させる意義はきわめて大きい
◇ 利用要件について、老人短期入所事業では
・ 社会的理由・・疾病、出産、冠婚葬祭、事故、災害、失踪、出張、転勤、看護、
学校等
・ 私的理由・・看護疲れの休養、旅行など
◇ 利用期間
・ 老人短期入所事業では概ね7日以内
(老人保健法によるショートステイでは14日以内とされている)
・ 必要と認められる場合には「必要最小限の範囲で延長」できることになっており、28日程度の利用が一般には認められてきた
・ 「できるだけ長く高齢者が在宅での生活を維持・継続することができるようにする」目的で、自宅への復帰を図る訓練やサービスプログラムによって援助を行うことを前提に、最長3か月までの入所が可能となっている
◇ 短期入所介護が利用できるのは、要支援者と要介護者となっている
◇ ショートステイ事業利用者の年齢は、
・ 80歳以上が約7割を占めており、
・ 「まったくの寝たきり」が26%
・ 「寝たり、起きたり」が14%
・ 「はって歩く」が6%
・ 自立的に移動できない状態の高齢者が約5割
◇ 介護している人は、ほとんど女性で91%
◇ 在宅での介護が50歳以上のあまり健康のすぐれない高齢者層によって行われている
◇ 利用の理由
・介護者の「介護疲れ」−45%、「疾病」−15%、「冠婚葬祭」−8%、「旅行」−8%
◇ 利用期間
・ 7日未満−37%、7日−20%、
・ 現行規定の原則7日以内が約6割となっている
◇ 利用回数
・ 1〜2回−29%、概ね5回以下となっている
・ 年間20回以上の利用も5%ある
◇利用の意識
・ 「自分で積極的に利用した」−69%
・ 「再度利用したい」とする介護者−94%
○短期入所介護は、主に介護者・家族の都合が先行するために、特に利用する要介護者等の理解や気持ちが安定しない間に、利用が開始されることが少なくない
◇ 短期間の緊急避難であるので、ともかく安全が確保できればいいといったことではなく、生活が安定し、落ち着いた快適な状況をつくること
◇ 施設生活に適応し、機能訓練などにも参加できるよう援助していくことが、介護の重要な目標になる
○ 短期入所介護は、短期間の利用の後に自宅に戻るので、施設としての独自の生活リズムに適応してもらおうなどと考えずに、できるだけ家庭でしている生活の仕方は変えないで援助する姿勢が大切
◇ 家庭で介護者がしていない介護をすることによって、サービス利用後の介護がかえって大変になったということが少なくない
○ どのような短期の入所サービスであっても、要介護者等の身体、精神状態にふさわしく、その状態や希望にあった介護等のサービスを提供することである
◇ 施設という集団の場、共同による活動の可能性など、在宅では経験できない援助課題を介護サービス計画に組み込むこと
○ 短期入所介護の場合にも、できる限り自立支援を行うことを基本的な視点にして介護・援助に当たることが必要である
◇自立的な支援を進める介護サービス計画をもつこと
○ 安全や事故の発生に十分な配慮をしておくこと
○ 短期入所介護は、要介護者への支援であるとともに、もっといえば介護者・家族への支援の役割は大きい
◇短期入所が終了した後の在宅サービスの利用への橋渡しの役割を果たす
○ 短期入所介護の利用・活用に当たっては、短期入所介護の意味や方法をできる限り広く理解しておくことである
○ 短期入所介護の介護支援サービスを進めるに当たっては、利用の状況を理解することである
○ 短期入所介護の利用については、利用の目的をしっかり確かめておくことが大切である
○ 介護支援サービスは、要介護者の状況・状態から、最も必要な介護・援助を総合的・継続的に提供し、その在宅での生活の継続を支援することを目的にしている
○ 短期入所介護の一つの役割は、突発的な事情によって介護が困難になったときにも、必要に応じて、柔軟にその場で利用できるような即応性である
○ 短期入所介護もサービス実施後のサービス評価、介護・援助によって利用者、介護者・家族にどのような変化、改善があったのか、どのような問題がでたのか、などのサービス評価をすることが必要である
◇ 1996年に15%であった高齢化率が、2015年には25%となるという
◇ 1990年に100万人であった痴呆性老人が、2000年には160万人になると推計されている
◇ 痴呆性老人の3/4は在宅で生活している
◇ 痴呆性老人について、その状態に応じて在宅での支援を基本としたサービス提供を積極的に行っていくことが重要
◇ 入院費用の比べコストという面からも成果が認められている
◇ グループホームは、5〜9人程度の痴呆性老人が家庭的な環境で共同生活を送ることができるよう食事等の日常生活を援助し、痴呆性老人の自立生活及び介護する家族の支援を行う事業
◇ 平成9年においては約40か所で実施された
◇ 痴呆をよく理解するための7法則
@ 記憶障害に関する法則
A 症状の出現頻度に関する法則
B 自己有利の法則
C まだら痴呆の法則
D 感情残像の法則
E こだわりの法則
F 痴呆症状の了解可能性の法則
◇ 痴呆性老人像
・ 基本障害として・・記憶障害(部分的な物忘れではなく記憶がすっぽり抜け落ちる)
見当識障害(時間、場所、人等の認知が出来ない)
知的障害(思考、計算、自制等がうまく出来ない)
↓
・ 問題行動として・・徘徊・自傷・異食・火の不始末
等
・ 精神障害として・・妄想・幻覚・うつ・緘黙
等
◇ 平成7年度に全国社会福祉協議会「痴呆性老人のためのグループホームのあり方に関する調査研究委員会」
○ グループホームのメリット
・ 利用者間に親和関係が育つ
・ 自立自尊の人間的な回復がある
・ 家族生活にゆとりがもてるようになる
○ グループホームのデメリット
・ スタッフの人数が少ないことから生じる問題
・ 利用者が少人数のため人間関係のトラブルが起きやすい
・ 経営体と利用者の負担がそれぞれ大きい
・ 医療のバックアップが不十分なことへの不安
・ 入所時に本人の理解や了解がないと問題が生じてくる
・ 退所後の行き先に関してのフォローが行われにくい
・ 流行性疾患に罹患しやすい
◇ 全国展開に向けての具体案
@ 専門性の確保・・責任者の専門性の確保、職員の専門性の確保
A 安定性の確保・・運営主体、併設施設
B 公開性の確保・・オンブズマン機能と、利用計画のシステムを明確にする
C 安全性の確保
D 医療・看護機能の確保
E ハードの確保
F 在宅サービス活用のための条件整備
○ 職員について
○ その他
◇ 基本としての利用者の立場からの福祉援助観の確立し、そのうえに立って、介護サービス計画を立てることが必要
◇ 「福祉用具」とは
・平成5年5月公布の「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」により、
・ 「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人又は心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具をいう」(法§2)
◇ 「補装具」とは
・ 身体障害者福祉法に基づいて交付されるもので、身体の一部の欠損または機能の障害を補い、日常生活や職業生活を容易にするために用いられる器具のの総称である
・ 身体障害者手帳を所有している者が申請し、市長村長がそれを必要と認めた場合に給付される
◇ 「日常生活用具」とは
・ 老人福祉法等により、在宅の介護を要する高齢者や重度の身体障害者に対して入浴、排泄などの日常生活上の便宜を図る目的で市町村等により給付または貸与される用語である
◇「福祉用具」とは
・ 心身の機能が低下し、日常生活を営むのに支障がある要介護者等の日常生活上の便宜を図るための用具及び要介護者等の機能訓練のための用具であって、要介護者等の日常生活の自立を助けるためのもの(法§7−17)
◇福祉用具は原則貸与によるとされる理由
@ 対象者が高齢者であることから、身体の状況、介護の必要度が変化しやすいが、介護の必要度の変化等に応じて用具の交換ができること
A 耐久性に優れた機器を、公的財源により個人の所有物とすることが適当かという問題があり、多数の利用者に広く使用される貸与の仕組みのほうが資源を効率的に活用できること
○ 「入浴または排泄の用に供する福祉用具その他の厚生大臣が定める福祉用具」(特定福祉用具)については、購入費の支給が認められる.例えば、特殊尿器など、貸与になじまい福祉用具を例外的に対象とする
◇ 福祉用具は、要介護者(要支援者を含む)自身が利用する場合と、その介護者が利用する場合とがある
(1) 要介護者の特性
◇ 老化による身体機能の変化に合わせて生活の仕方を変えていき、無理のない範囲で・活動的な生活を営む必要がある
(2) 介護者の特性
◇ 介護者の「知識と技術」「体力」「介護する時間」等を考慮して適切な福祉用具を利用すれば、介護者の負担を軽減し要介護者等の生活の質も向上することになる
(1) 身体機能の補完
◇ 日常生活動作遂行に支障ある要介護者等に対して、機能訓練を補うために用いられる
◇ 要介護者等自身が身につけて使用する場合が多い
◇ 食事の際の各種自助具、杖、歩行器などはこの目的で使用される
(2) 介護・介助者の負担軽減
◇ 移乗・移動の際に用いられる移動用リフト、起居の際に持ちいられる背上げ機能の付いたギャッジベッドなど
(3) 機能訓練
◇歩行器、車椅子などは廃用症候群の予防にも効果がある
(4) その他
◇ 緊急通報装置、自動消化器などは、独居老人等の自立生活の支援のためにも活用される
(1) 要介護者の自立支援のための福祉用具の使用法
◇ 自分で起き上がることのできない人であっても、適切な福祉用具を使用すれば起きて生活することができる
◇ 残っている機能(残存機能)に注目し、福祉用具を選定し、使用させることが必要である
(2) 介護者の負担軽減のための福祉用具の使用法
◇ギャッジベッド、移動用リフト、シャワーチェアなどの福祉用具は、要介護者等身体状況等を十分把握した上で、自立を促進する配慮を失わないことが必要である
◇敷居、浴室などの段差解消や手すりの設置、身体機能に対応した住宅改修
◇ 福祉用具を日常生活動作に基づいて分類すると
・起居関連用具 ・移乗関連用具 ・移動関連用具
・排泄関連用具 ・入浴関連用具
(1) ギャッジベッドを利用する場合
◇ 一般に、ベッドのほうが和室で布団を敷いたときよりも、利用者、介護者とも負担が軽減される
◇ しかし、徘徊傾向の強い痴呆者等は転落の危険があるため布団のほうがよい
(2) ギャッジベッドの効用等
◇ 要介護者を寝たきりにさせないためにも、機能を介護者等が十分理解し、活用しなければならない
◇ ベッドの利用に際しては、サイドレールを活用するなどして立ち上がり時の安全性の確保、転落防止にも配慮が必要である
(3) ギャッジベッド導入に当たっての主な留意点
◇ 端座位がとれる人には、背上げ機能だけの付いたベッドでなければ、座位がとりづらくなること
◇ ベッドの高さについて考慮する
◇ 介護者の操作スペースを取る必要がある
◇ 体位交換の可能な者が褥瘡予防のために使用する場合にも少し堅めのものがよい
(1) 介護用車椅子
◇ 一般に、後輪が小さく全長が短い
◇ 肘掛けが取り外し可能なものもある
◇ 介助用ブレーキ、シートベルト等の付属したものもある
(2) 自走式車椅子
◇ 両手でこぐものが一般的である
◇ 利用者に意欲があり、上半身の残存機能を活かした自力操作が可能であるならば、自走式の車椅子の利用を検討する
(3) 車椅子導入に当たっての主な留意点
◇ 回転できるスペースを確保することが必要
◇ 段差解消などの使用環境の整備を併せて行う必要がある
◇ シートベルトの装着や介助者の十分な理解と配慮などが必要
(1) 排泄の介護における福祉用具の活用
◇ 要介護者等に無理のない範囲で自立を促すとともに、昼・夜間それぞれの状況に応じて要介護者等および家族等の希望や価値観、介護力に合った介護の方法を検討することが大切である
◇ 排泄に関するケアは、本人の心理的負担感や介護者の介護負担が大きく、本人や同居家族等の生活状況を十分検討した上で用具を選択する必要がある
(2) 排泄関連用具の導入に当たっての留意点
◇ トイレの改良等の検討の際には、膝や股関節が十分に曲がらない人や、下肢の筋力が低下して立ちしゃがみが困難な者には、補高便座等による高さ、傾きの調整や手すりの取り付け等を検討する
◇ ポータブルトイレを使う場合には、状況に応じ適切なものを選択する.
使用後の後始末や持ち運び等について、要介護者等自身が可能かも含めて検討する
(1) 入浴関連用具の選択
◇ 段差、浴槽のまたぎ等、浴室の改修等も含めて検討する
◇ 転倒の防止に配慮し、手すりの取付けや段差の解消等の検討
◇ シャワーチェアを使用してシャワー浴とすることも検討.その際、座位保持の可能な者については、背もたれのないものを利用すれば、介護者が背中を洗いやすい
(2) 入浴関連用具導入の際の留意点
◇ 浴室等の改良や浴室内への用具導入の検討の際は、家族等の使用も含めて考慮する必要があること
◇ 手すりの取付け等では、壁の下地など構造上取付けが可能か、また、簡易取付け型の手すりの場合、相当の体重が手すりにかかることも考慮して、安全上問題はないか等十分な検討が必要なこと
◇ 浴槽台や踏み台は、重さ等に配慮し、取り扱いが容易なものを選択すること
◇ 介護サービス計画を作成する際に福祉用具を有効に活用するためには、介護にかかわるすべての関係者の連携と協力が不可欠である
◇ 介護サービス計画の内容については、要介護者等およびその家族の意向を基本に、どのような福祉用具をどのように利用するのが効果的かを検討しなければならない
(1) 使用目的
◇ 福祉用具の使用目的については、用具の使用目的を明確に具体的にする
◇ 要介護者等本人、家族らにも用具の使用目的を説明し、性能、効果などについて十分に理解を求める
(2) 使用環境
◇ 福祉用具の使用場所、使用環境等をも含めて、検討した上で、最終的な利用計画案を立てる
◇ 介護サービス計画全体の中で福祉用具を有効に活用することができるよう、使用環境に応じた機種の選択や使用環境の整備を図ることが大切
(3) 利用効果の確認
◇ 用具は可能な限り実際の場所で試用し、要介護者等に有効であることを確認した上で利用を決定することが望ましい
◇ 貸与された福祉用具の利用効果が最大限活かされるよう、必要に応じて、介護サービス計画を見直すなどの配慮も必要である
◇ 訪問介護、訪問看護等のサービスを提供している者から福祉用具の活用状況および使い勝手等に関する情報を幅広く収集し、利用効果を確認する必要がある
(4) 利用者に応じた選定
◇福祉用具は、要介護者等自身が試用する場合と介護者が使用する場合がある
(5) 情報の収集
◇福祉用具についての専門知識を有する者との連携を図ることは不可欠である
(6) 故障時の処理
◇福祉用具賃貸事業者等が迅速に対応できるよう故障時の処理についても、要介護者等本人、介護者、家族等が理解する必要がある